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宣伝『UN-GO』

2011.11.17 00:25|作品単体感想
 ・生まれ変わるために。
『UN-GO』
 un-go3.jpg


 監督:水島精二 シリーズ構成・脚本:會川昇 美術デザイン:宮谷崇ほか 音楽:NARASAKI
 キャスト:勝地涼、豊崎愛生、三木眞一郎ほか

 フジテレビ系列、深夜ノイタミナ枠にて放映中。

 UN-GO episode:0 因果論
 11月19日より、TOHOシネマズにて二週間レイトショー上映開始!

このアニメ、とにかく面白い。
まったく美しいものを美しいままで終らせたいなどと希(ねが)うことは小さな人間で、私の姪の場合にしたところで、自殺などせず生きぬきそして地獄に堕ちて暗黒の曠野(こうや)をさまようことを希うべきであるかもしれぬ。

人間。戦争がどんなすさまじい破壊と運命をもって向うにしても人間自体をどう為しうるものでもない。戦争は終った。特攻隊の勇士はすでに闇屋となり、未亡人はすでに新たな面影によって胸をふくらませているではないか。人間は変りはしない。ただ人間へ戻ってきたのだ。人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。

そして人の如くに日本も亦(また)堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。

 以上は、戦後間もない1946年4月に雑誌『新潮』に掲載された、坂口安吾の短編エッセイ『堕落論』の文章の所々を抜粋したものです。

 『UN-GO』は、坂口安吾の探偵小説『明治開花 安吾捕物帖』を原案とした全11話のTVアニメです。作品のキャラクター、時代設定、ストーリーなどあらゆる部分にオリジナル要素を加味した改変が行われており、オリジナルアニメといってほとんどさしつかえないでしょう。
 ただし、「坂口安吾」の作品のアニメ化という意味では、これほど忠実なアニメ化もなく。

結城新十郎 UN-GO 因果

 『UN-GO』のおおまかなあらすじとしては―――
 近未来、とある大戦争を経て、戦火の傷跡も生々しい復興中の日本。メディア利権を掌握するJJシステム会長・海勝麟六は、その情報網と推理力で数々の事件を解決へと導いていた。
 その一方、事件の本当の真実に迫る者が二人。“敗戦探偵”結城新十郎とその助手・因果
 二人は、海勝が事件を美しい結末に仕立てる裏で、堕ちゆく人間の本性をあぶり出していく。

 まあこんなところでしょうか。
 まだ11話中6話までの放送で、その中途で評価を固定するような記事を書くのは邪道なのでしょうが、回を追うごとに増してゆく面白さに、もうどうにも我慢ならん。
 それに、ここまで面白いにも関わらず注目度が低いので、本ブログで宣伝することでその現状を少しでも後押しできればと。(まあ閲覧数はたかがしれてますが・・・)

 まず何が面白いって、その世界観ですね。
 近未来で科学・情報技術が発達しているにも関わらず、戦争によって国土が大打撃を受けていて、あるところでは廃墟同然の町並みが広がり、都会のあちこちで高層ビルが倒壊していて、あるところではSFチックな内装に彩られた邸宅が構えている。そして全体的に明治モダンな意匠の服飾・建築。
 戦後退廃美とSFが混同されたような歪んだ世界の光景が、もうストライクゾーンど真ん中でした。(つくづく世界観フェチだな俺)

 そして、語られるテーマ。
 “堕ちよ、生きよ。
 前述の通り、本作は坂口安吾の『探偵捕物帖』を原案にしていますが、個々のエピソードには『捕物帖』の収録話以外にも安吾の他作品がいくつか引用されています。そして新十郎が第一話で語るキーワード「堕落」の通り、全体としては『堕落論』のテーマが物語の基軸となっています。
 人は生きて堕ちるもので、堕ちて堕ちて、その先で自分の生き方を見出すことができる、それが救いだ―――
 本作での新十郎もまた、因果の力を借りて、事件に秘められた人間の真実を暴き立てていきます。
 『UN-GO』は『安吾捕り物帖』のアニメ化ではなく、『堕落論』をはじめ数々の作品群に反映された「坂口安吾」という人間性<パーソナリティ>のアニメ化といえるでしょう。だからこそのこのタイトルなわけで。
 
 探偵モノとして、SFとして、何よりポリティカル・エンタテインメントとして。
 既存の社会システムが壊れ、迷走する日本の中で、人間の本質を問う物語。
 今の日本にこれほどぴったりなアニメが他にあるでしょうか。

 ま、そうしてテーマを考えても面白いアニメなんですけど、ぶっちゃけ観てる間は、作品を満たす独特の雰囲気とキャラクターの掛け合いを眺めているだけで十分面白いんです。

 そう、なんといっても新十郎と因果のコンビ!
 物憂げな佇まいの“静”の新十郎と、奇矯な言動でぴょんぴょんと跳ね回る“動”の因果。アニメーションの絵と動画両方の魅力を体現する二人の主要キャラ。
 そして彼らを演じる、勝地涼豊崎愛生。どちらも声音から雰囲気までキャラクターに非常に合っています。

 特に、豊崎さんの演技は白眉ですね。
 『けいおん!』の平沢唯をはじめとする、ゆるふわ癒しキャラの役のイメージが強い彼女に、小悪魔的な少年声と妖艶な大人の女性の声両方を演じさせるという、異化効果を最大限に発揮するキャスティング(こういう配役は、『ハガレン』の釘宮理恵asアルフォンスを思い出しますね)、そしてそれにしっかり応えてみせている実力。
 豊崎ファンはもっとこのアニメに喰いついていいんじゃねーの? 

 そして決め手として、School Food Punishmentが歌うOP曲How to go

 
 
 ♪何百万回泣いて 生まれ変わるよ 赤い目のまま行こう 描いた未来へ
 
 このサビのフレーズもまた、本作ひいては『堕落論』のテーマをよく反映しています。


 もし坂口安吾が今の時代にやってきて、己の作品を大改変しながらもそのスピリットを克明に描き出すこの異形のアニメを観たとしたら、きっと「いいぞもっとやれ」と手を叩いて喜ぶんじゃないでしょうか。

 まだ6話までの放送、主要キャラも揃って、新十郎の内面や因果の正体も徐々に明らかになってきて、これから本番の後半どうなっていくかが見物です。
 まだ観ていない方は是非!

 風守&因果


 *****
 

 はい、こっからまた完全に趣味の話です。(え? 最初から?)
 私は、この『UN-GO』を、監督の水島精二と脚本の會川昇がかつて手掛けた『鋼の錬金術師』旧アニメ版のかたちを変えた続編と捉えることもできるのではないかと思います。

 旧アニメ版の完結編となった『劇場版 シャンバラを征く者』のラストで、現実世界の1920'sドイツで生きていくことになったエドとアルは、自分達の世界から持ち込まれたプルトニウム爆弾を探して廃棄することを宣言していました。
 あの後、新たな大戦に覆われていく世界で、彼らは人知れずその世界のために自分達のできる精一杯の闘いを続けていったのではないか―――私はそんなことを夢想します。

 『UN-GO』の新十郎と因果もまた、海勝によって事件の真相が日の目を見ることがないことは承知の上で、ひたすら事件を解いて、人間の本性を暴いていきます。

 ―――この世界がいかに絶望的であろうとも、自分の為すべきことが確かにある。
 『ハガレン』旧アニメ版の最後で示された新たなテーゼが、『UN-GO』に受け継がれているように思います。
 そういう意味でも、このアニメがどんな結末を迎えるのかが気になるところです。

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テーマ:アニメ・感想
ジャンル:アニメ・コミック

tag:UN-GO

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