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DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る

2012.09.14 21:26|映画感想
『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on
 少女たちは傷つきながら、夢を見る』


 akb.png

 監督:高橋栄樹
 企画:秋元康
 撮影:村上拓 録音:久連石由文編集:伊藤潤一
 ナレーション:能登麻美子
 制作:north river



 「少女たちは傷つきながら、夢を見る」―――
 この最高にえげつない共犯的サブタイトルからして、本作がどういうドキュメンタリー映画であるかは一目瞭然だ。
 
   ***

 本作は、ほとんどメンバー一人一人のインタビュー集だった前作に比べ、2011年のAKB全体あるいはチーム単位での活動を主に映している。
 まず序盤は、東日本大震災を受けての被災地でのコンサート。
 そして中盤以降は、選抜総選挙、西武ドームコンサートの二日間、新造の「チーム4」の奮闘、メンバーの恋愛スキャンダル、レコード大賞受賞の様子などが映される。

 他の感想や批評でも多く指摘される通り、「AKB48」というグループの残酷な構造、壮絶なプレッシャーにさらされる少女達の姿を非常にはっきりと映し出し、異様な迫力をもったドキュメンタリーとなっている。
 そのハイライトとしての西武ドームコンサートの舞台裏。研究生も参加する大規模なライブが進む裏で、メンバー達は出演の順序や登場位置の混乱に翻弄され、そして過酷なスケジュールによる疲労から次々に倒れていく。それでも、ファンの期待に応えるために笑顔でステージにのぼるアイドル・・・という、まさに「偶像」に、エース前田敦子が全身全霊で殉じてみせる。

 つまりこの映画は、コンサートの段取りの不備やメンバーの恋愛スキャンダルといった、本来ならばただの失態や、選抜総選挙などのある種のマッチポンプ的な茶番こそを、AKB48をさらに輝かせる要素に転化してみせている。

   ***

 某ラジオ番組の映画評論コーナーでは、「アイドル映画としてはこれが限界」と評された。この残酷構造をこれ以上突き詰めたら、アイドル映画というか「アイドル」そのものを終わらせてしまう、と。
 そう、確かに、「アイドル映画」としてはこれが限界だろう。
 しかし恐ろしいのは、本作は「AKBドキュメンタリー」としてはおそらくまだまだ序の口なのではないかという予感だ。「今」の残酷構造をどこまで突き詰めるかという話ではなく、このグループが進む先に待ち構えている状況、そしてその時AKBドキュメンタリーが映し出すもの、それらをありありと幻視してしまった。

 つまり何が言いたいかというと、AKB48はこれだけ人気と規模を拡大して尚、まだ坂を登っている途中だということ。全てのアイドル(グループ)が宿命的に抱える「頂点を極めた果ての衰退」、「祭りの後」がまだ残されているということだ。AKBドキュメンタリーはまだそれを映していない。
 そしてそれこそがAKBドキュメンタリーで描かれる最大のトピックになり、AKB48のマイナス要素こそをエンタテインメントに転化するという本作の手法が真価を発揮する機会になるだろう。
 詳しくは自分で書いててドン引きしたので割愛。

 ともかく、そんなコンセプトの元にAKBのピーク以後の実録映像を撮り上げた時、本作など足元にも及ばない空前絶後のアイドルドキュメンタリーが、残酷映画が誕生するのではないか。
 ・・・という妄想。
 実際は、AKB48はピークを過ぎればいずれ路線変更して普通のアイドルグループに落ち着いて、衰退するにしても綺麗なソフトランディングを決めてみせるだろう。たぶん。

 僕はAKB48のファンではないけれど、一応は映画ファンでありアニメオタクであるから、何か特定のジャンル・作品・集団に傾倒し応援することの普遍的な楽しさ虚しさについては十分理解している。これは決して他人事ではないなと思った。
 作り手は夢を与え、ファンは声援を送る。その図式を突き詰めた末、とんでもなくラジカルな、傍目から見れば異常な状況が生まれてしまうというのは、とてもよく分かる。

   ***

 そしてもう一つ、アイドル映画はその現在を映すものとして公開当時に観る意味があるというが、本作はしかし今こそ観る意味があると思う。
 あるメンバーはAKB卒業を表明し、またあるメンバーは劇中ではコメディリリーフとして映されていたが、翌年には恋愛スキャンダルが発覚して姉妹グループに移籍となった。そしてチーム4は解体されて他チームに接収されることが決まる。
 これらを念頭において本作を観た時、劇中の描写のいくつもに公開当時とはまた違った、より深い感慨を抱くことは間違いないだろう。

 はからずも、アイドル映画としては旬を過ぎた今でこそおススメ。

   ***

 この映画を観ている間ずっと感じていたのは、「え、これを楽しんでいいの?」という疑問と、「でも実際面白いしなあ」という快感で。
 はてアイドル映画はこんな背徳的なものだったのかと愕然としました。
 というか、確実に自分のそういう回路が開かれてしまったような・・・。

 実際、AKBのファンはこの映画をどういう思いで観たんだろう?

 そしてこの映画の手法で現実のAKB48を「楽しむ」ことは非常に危険だと思われるので、自分はとりあえずしばらくはAKB含めアイドルにハマることはない、ハマってはいけないなと思いました。
 いや、こんなレビュー書いてる時点で、もうハマってるのか・・・?

 とにかく、激烈な過剰さと欺瞞の渦巻く、カオスな映画でした。

   ***

 また、アニメファンとしては、AKB48をマクロスFのスタッフが「アニメ化」した『AKB0048』とアイドル育成ゲームをアニメ化した『アイドルマスター』を並べて考えてみると何か出てくるものがないかなあと思ってます。
 自分はどっちもちゃんと観てないので、誰かやってくれないかな。


 追記1:
 考えてみりゃ自分、今までアーティストや作家のファンになることはあってもアイドルのファンになったことってないんだよなあ・・・。
 せいぜいモーニング娘。とかSMAPの曲を口ずさむ程度で。

 追記2:
 この映画で一時でもAKBに入れ込んで分かったことだけど、AKBをよく知らない人のAKBへの偏見とAKBファンの熱狂がこうも食い違っているのは、AKB48の「運営」と「メンバー」をごっちゃにして捉えているか否か、なんだろうなあ。
 
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tag:AKB48

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