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書き起こし:「そこ☆あに」増刊号vol.10

2012.10.02 18:19|ラジオ
 アニメ・特撮についてのネットラジオ「そこ☆あに」の増刊号vol.10がすげー面白かったので宣伝。
 ➝http://sokoani.com/archives/5137.html

 編集者・大塚ギチの書いた小説『THE END OF ARCADIA』出版を記念しての特集だったのが、アニメ脚本家・佐藤大(『エウレカセブン』『ジャイロゼッター』など)を交えてのクロストークがオタクの老後や佐藤さんの作品作りの姿勢など思いもよらない方向に発展していって、それが本当に面白かったので。

 そのクロストークから、僕の印象に残った箇所を書き起こしてみました。
 文章としての文脈を通すために、若干言葉を端折ったり修正したりしているのであしからず。
 カッコ内の文は僕の注釈です。
・そこ☆あに増刊号「THE END OF ARCADIA」vol.10
出演:大塚ギチ・佐藤大・那瀬ひとみ(「そこ☆あに」パーソナリティ)


大塚「そもそも僕ずっと編集者で、アニメのムックとかをやっていたんだけど。まあそれなりに好成績を残していると思ってるわけですよ、自分なりに。」
佐藤「『グレンラガン』のやつとか。」
大塚「(中略)今ね、本当ムック作りが結構辛い時期で・・・。オフィシャルのムックで、売れてる作品以外でほとんど現状、出せないんですよ。(中略)ちょっと面白い過去作品で、ムックが出てなくて、今きっちりやったら非常に面白くなる、注目度もある程度出せるよっていうやつでも、全然企画が通るご時世じゃないので・・・。(中略)ぶっちゃけて言うと、アニメムックって、アニメムックのルーツが分かっててきっちり作れてる人って、ウチか小黒さん(おそらく「アニメスタイル」の小黒祐一郎)のところだけだと思うのね。そこ以外のところって、素材を流用して作るってだけであって、しかもお客さんの方に向かないムックだからさ。(中略)俺が言いたいのは、ムックのルーツがない人達のムックって、面白くもなんともないわけ。(中略)ある程度数字を出して、話題性のある、保存性のある、所有欲を満たすものを作っていかないと、後々厳しくなるはすなんだけど、みんな人気タイトルでさくっと作っちゃうから。(中略)」

  ***

大塚「オタクというか、(オタク)第一世代がようやく70代に到達したんですよ。それ以前にはいないわけですから。例えば、SFの原書を読んで、自分達で翻訳してたりしたとか、そういう人達ですよ。『ヤマト』以前の人達ですよ。(中略)で、第二世代第三世代と呼ばれる人達は・・・『ガンダム』ブームとか『ヤマト』の人達は、大人になって、お金もあるから、老後の楽しみとして本を買ったりフィギュアを買ったりプラモデルを買ったりしてたわけですよ。その人達が今直面しているのは、場所問題ってのがあって。要は、皆今、老後の楽しみにしていたプラモデルとか書物を処分し始めてるわけですよ。」
佐藤「皆が皆鳥山明みたいな豪邸に住めるわけじゃないからね。」
大塚「そうなんですよ。僕らの老後はない、っていう状態に気づき始めたのが今なんですよ。」

大塚吉田豪さんってライターが最近提唱してる、『サブカル40代実家帰り説』っていう問題も出てきて、それはすごい分かるわけですよ。(中略)ライターだったら、30代でイケイケで活躍してた人が、40過ぎたらフローな仕事が結構減るのよ。何でかっていったら、現場の編集者が若い時に、年上のキャリアのある人に声かけたいかっていうと、やっぱり同年代と仕事したいからさ。(中略)廃業が結構多いんですよ。そうなったら使えるお金も減るし、場所もなくなるから、書物を処分し、プラモデルを片づけたりということになっていって。オタクの老後問題って・・・。」

大塚「第一世代、第二世代、何故彼らがオタクたり得ていたかというと、お金があったんですよ、裕福なんですよ。それは例えば手塚治虫が幼少の頃からウォルト・ディズニーのアニメを自宅で観ていた、っていう・・・。(中略)」
佐藤「いやそうだよね。こないだ、今年の夏やってた大伴昌司さんの展覧会行ったわけですよ。(中略)いやまあ物持ちが良いっていうか、どう考えても大伴家金持ちだなって。・・・」

大塚「やっぱり、オタクってお金がないとなれないっていうのがあって。それなりにお金があったり育ちが良かったりするわけですよ。その人達が、ようやくここに来て、・・・あれ? どうする? パパ金持ちだったけど、僕そんなことないよ~ってなっちゃってるわけじゃない。これ、プラモデルこんなにあってもどうしよう、みたいな。老後の楽しみって言ってたけど、僕もう老後ねえや、みたいな。」
佐藤「そうそうそう。もう老眼で取説が見えないや~みたいな世界でしょ。」

   ***

大塚「これから、何であれ、子ども達の間で何かがブームになったとしても、別にそれは終わっていくわけで。で、そん時にさ、多くの人は『終わってしまった・・・どうしていけばいいんだろう』とは思わないかもしれないけど、アニメファンだったら、大好きな作品が終わってしまうだけで喪失感って結構あるわけじゃない。で、それでも尚生きてかなきゃいけないわけだよ。」
佐藤「焼け野原でひとりでね。」

   ***

佐藤「今僕は、キッズアニメ(『超速変形ジャイロゼッター』)をやってるわけですけど。(中略)『男子高校生の日常』だったり『銀魂』の監督として有名な高松信司がね、久々にキッズものでロボットをやるっていう、そのことだけで俺は(脚本を)やりたいと思うっていう、このね。だから『バトルスピリッツ』をやる時も、あの本郷みつるがカードゲームをやると。それはやってみたい、っていう選択だったりして。 だから当時、・・・それこそね、君も関わった『エウレカ』があって、それの続編(『エウレカセブンAO』)をやるべきか、何をやるべきかと選んだ時に、僕が思ったのは、「アニメの脚本家になりたい」と思ったのね。そうなった時に、子ども向けをやらないでこのまま終わってしまったら、これはアニメ脚本家ではないと。自分のキャリア的にもね。」

佐藤「(中略)アニメに関わる以上、子どもが楽しむ、別に作り手がどうとか関係ない。毎週楽しみにする、一年間をさ、すごい思い出になるわけじゃん、その人の人生においてさ。一年間、毎週毎週観てさ、さっきの喪失感含めて。喪失しちゃうわけじゃん。僕らがそれこそさ、『エルガイムン』が終わってしまう瞬間とか、『ザブングル』が終わってしまう瞬間に、『終わっちゃう・・・』って、こう、思うわけですよ。」

佐藤「どんどん対象年齢を低くしていくわけ、俺が作る作品の。最初はハタチぐらいどころか30、40の人が観ても楽しめるもの、みたいに自分のキャリアがスタートしたとしたら、今はもう『ど根性ガエル』みたいなのやりたいもんね。」

佐藤「一年モノのアニメをやりたいってのは凄くあって。今もう本当にそういう場がないんで。やっぱ一年モノの良さって、作りながら変わっていくっていうことだと思うんだよ。」
大塚「そうだね。現場の成熟でね。」
佐藤「そう。26本だとやっぱり何だかんだ言ってスタートの段階で20話近辺まで来てたり、25、6話まで来てることもあるから、脚本でいえば。そうするともう、お客さんの反応って入れようがないんだけど。でも一年モノだと3クール目から入れられるわけで。入れざるを得ないし。で、そこで変わっていく『事故』っていうのは、さっきアドリブって言ったじゃん(※アニメでは実写のようなアドリブは不可能という話題)、アドリブに近いんだよ。(中略)脚本上のアドリブが入れられるっていうのは一年モノの良さだなあって。」

   ***

大塚「今ねえ本当に、売れる売れないよりは、面白い仕事がいかにできるかだと思うのよ本気で。だからさ、これで本出して全然売れませんでしたってなったら、ウチの子達にあんた社長なのに何やってんだって、自分で本出しておいて全然売れないじゃないかって言われたら、俺夕方からケンタッキーフライドチキンでバイトすると思うんだよね。」
佐藤「君得意だからね。」
大塚「昔働いてたからね。(中略)そうやってさ、夜居酒屋で働いてもさ、今の事務所も含めて何とも維持できるわけでしょ。そのうえで本も書けるんだからさ、いいじゃない別に。」
佐藤「そう、俺もねえ、それはそう思う。そこそこ好きな本が買えて、好きなCDを好きなだけダウンロードできて、超幸せって思うんだよね。富士蕎麦が食えるのがすげえ幸せ、みたいな。」

大塚「だから、老後というのを考えた時にさ、これからオタクはどう生きていくのか、生きて死んでいくのか・・・。」
佐藤「ひとみちゃん的にもそれテーマなんでしょ、これから10年後、20年後のオタクがどうなるかっていう。」
大塚「だからさ、アルファロメオが欲しいと思うんだったら、それはしょうがない、頑張るしかないけどさ。でも別にさ、俺欲しいのだったら十万のワゴンだったり普通の軽トラだからさ。」
佐藤「俺だってアレだもん、もう一回出る『ブレードランナー』のブルーレイBOXを買うかどうかっていうのが、すごい今の悩みで。(中略)その時に、迷うけど買う、ってくらいの貯金があれば、俺もう今43なんだけど、幸せだから大丈夫だよひとみちゃん。(中略)」
大塚「家族とか、子どもを育てていくってことに関してはまた別な話だけどね。」

 以下続・・・

   *****

 こんな感じでした。
 これは1時間20分のトークのほんの一部の抽出に過ぎないので、これを面白いと思ったひとは是非トーク本編を聴いてみることをおススメします。脚本家・作詞家・小説家の資質の違い、創作の題材としてのオタク、ライターの台頭と消費等々、面白い話題がまだまだあります。
 この特集以外のこれまでの配信もバックナンバーから全て聴くことができます。
 「そこ☆あに」http://sokoani.com/
 特集テーマの大塚ギチ著『THE END OF ARCADIA』もよろしく。➝http://www.undersell.co.jp/arcadia/books

 僕が「そこ☆あに」をつくづく面白いなあと思うのは、パーソナリティ達の視聴者目線でのアニメ語りと作り手達のディープな制作秘話や業界話が、まったく同じラインに並べて開陳されているという在り方です。
 
 作品スタッフへのインタビューにも「そこ☆あに」本編のゆる~い空気がそのままあって、語り手も聞き手も皆非常にリラックスしているのが直に伝わってくる。インタビューテーマから全く外れたところに話が飛んでも生真面目に軌道修正したりせず、そのまま自由に会話が進められていって、それが時として思いがけない本題への回帰をみせる。「そこ☆あに」の掲げる「そこそこアニメについて語る」というスタンスが、むしろ作り手の奥にある本質的なものをひょいっと取り出してみせる。その一つが、今回のクロストークだったと思う。
 番組としての利益は基本的に広告収入のみ。ほとんど個人製作的なネットラジオであり、かなり綱渡りな状況でいつ終わってもおかしくない、でもだからこそ今の自由な振れ幅を可能にしているのかもしれない。いつの間にかそこらのアニメ雑誌ともタメを張るくらいの作品語りと作り手の肉声を記録した一大アーカイヴを形成している。ITunesの配信で毎回平均およそ三万ダウンロードという記録は伊達じゃない。

 本当に、「今」聴くべきラジオだと思ってます。


 ※誤字修正ついでに、佐藤さんの語りをちょっと追記しました。(2012.10.16)

 ※最後の僕の番組評で、よく考えるとスタッフの方に失礼にあたると思われる記述があったので修正しました。文の内容にはそれほど関係ないです。(2012.10.27)
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ジャンル:テレビ・ラジオ

tag:そこ☆あに 大塚ギチ 佐藤大

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江楠

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