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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

2012.11.20 15:56|映画感想
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 企画/原作/総監督/脚本:庵野秀明
 監督:摩砂雪、前田真宏、鶴巻和哉 主キャラクターデザイン:貞本義行
 画コンテ:鶴巻和哉、樋口真嗣、摩砂雪ほか 音楽:鷺巣詩郎
 脚本協力:榎戸洋司、鶴巻和哉、前田真宏
 制作:スタジオカラー


 ※ネタバレ注意!
  
   ***

 虚しさを抱えて 夢をぶら下げ 二階建ての明日へとTAKE OFF
 ハイジャンプしよう
 騙されちゃまた懲りもせず信じたりして
 もう誰も疑わずにいれるなら oh oh oh 許し合えるなら
 大切に抱き締めてた宝物が ある日急に偽物と明かされても oh oh oh
 世界中に刷り込まれている嘘を信じていく
 すべてはフェイク
 それすら・・・


 (Mr.Children「フェイク」より)

   ***

 かつて、詩人・思想家の吉本隆明は、『新世紀エヴァンゲリオン』について、1997年の大塚英志との対談でこう評した。

「富野さんの『ガンダム』の場合には、戦争それだけを取り出してきて安定した話にするということにためらいがあって、そこだけまた劇画としては立体感があると思うんです。」
「『エヴァンゲリオン』の場合ですと、戦闘あるいは戦争ということはもう昔、つまり古典的な話であって、倫理も肯定もへちまもない、大っぴらに描いている感じがあるんですね。主人公たちのためらいとか弱さとかの中には、戦争、戦闘行為、あるいは殺し合いに対するいろんな思いがよく出ているんだけど、戦闘場面自体をもってくるとそうじゃなくて、たいへん大っぴらに肯定的に描かれている」
 吉本隆明/大塚英志『だいたいで、いいじゃない。』('00)第1章「エヴァンゲリオン・アンバウンド」より

 これは大変的確な指摘だった。『エヴァ』の戦闘・戦争描写とはつまり、戦闘や兵器そのものは是非を問わず誇張して(つまり「大っぴら」)に描く「特撮」というジャンルのそれだったからだ。

 それからおよそ10年後、エヴァは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』として再出発した。
 序・破を観て、それから前述の吉本の評にふれて、僕はブログでこう書いた。

 追記3:吉本×大塚の対談で出ていた『エヴァ』の歴史認識(感覚?)の問題は、『新劇場版:序』になってもやはり戦闘は戦闘として「大っぴらに」描かれていて、続く『破』ではその極限にまで行っちゃった印象がある(第8使徒戦の容赦ない市街地・山野の破壊っぷりとか)。
 『Q』はどうなるんですかねえ。予告では2号機が宇宙で戦ってたけど、それこそ本当に「戦争描写にためらいのない『ガンダム』」そのものになるのか? (2012.3.17)

 http://ex555weblog.blog.fc2.com/blog-entry-69.html

 そしてこの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』をいざ観たらば、やっぱり弐号機、宇宙で戦ってる! そんで旧ネルフメンバーが戦艦クルーになってるー! そこからエヴァ出撃してるー! ミサトさんが葛城艦長・・・っていうか中の人的にマリュー艦長じゃねーか! いつ「ゴッドフリート、撃てーーッ!!」って叫ぶかとヒヤヒヤしたよ。
 そんな感じに「Q」序盤のガンダムぶりに、自分の妄想が具現化したようでクラクラしてました。
 AAAヴンダー、最終作でも是非活躍してほしい。
 ていうか、「Q」で今までになかった歴史認識が生まれてるんじゃないかと考えてたけど、もうそれどころじゃなくなっちゃってたなあ・・・。

   ***

 んなことはさておき、本作「Q」ですが。
 前作「破」から色々変わり過ぎて違い過ぎて、観た者は当惑すること必至な内容になっていますね。
 しかし、「破」の対になるものとして・・・「破」の結果・後始末の物語としてみれば、わりと納得のいくものなのかもしれない。

 「世界がどうなったっていい。でも、綾波だけは」と、見事綾波レイを救い出したシンジ。しかしその言葉通りに、シンジの初號機は綾波ごと使徒と融合しサード・インパクトを引き起こしてしまった(正確には、カヲルによって拡大は途中で阻止されたのだが)
 今作「Q」で、シンジは綾波を救った「ツケ」をひたすら払わされる。
 14年間凍結され、目覚めたら目覚めたでろくな説明もなく命を握られ、再びの悪夢を招いた罪人として皆から疎まれ蔑まれる。トドメとして、そうまでして救ったはずの綾波は存在が消失していた・・・。
 「Q」は、シンジが「破」で(自分の意志でなくとも)犠牲にしたものと向き合わされ、それを取り戻そうとしてもがき失敗する物語だ。シンジに「序」「破」で培われた主体性があるだけに、余計にその失敗は彼を強く苛む。

 世界は自分を置き去りにして変動していき、一方でそんな世界に無関係ではいられない。けれど自分は無力であり、無闇に行動すれば望んでもいない災禍を招いてしまう。それでも、この世界でどう生きていくか・・・。
 しかしそうしたテーマは、まさに『エヴァ』の後続の作品が果敢に挑んでは散りを繰り返し、どうにかこうにか前に進めてきたものだ。それを今更『ヱヴァ』が旧劇的世界からやり直すなんて、それこそ周回遅れもいいところじゃないか・・・という批判には、反論の余地はないように思う。
 が、そうした業も込みで、エヴァ/ヱヴァは「繰り返しの物語」なのだろう。この「Q」が本当に「破」の続きなのか、巷で言われるように新劇場版と旧劇場版の間の時系列なのかはともかく、いずれにしても、かつて成し得なかった虚無的でない結末に向けて、物語はアップダウンを繰り返している。

 そして、今作で明らかになった、エヴァ搭乗者に課せられる「呪縛」。
 それは、エヴァ・リアルタイム世代にとってあまりにもあまりな設定に思われるが、それはつまり、改めて『エヴァ』TVシリーズ・旧劇場版もひっくるめてエヴァ/ヱヴァという物語を完結させるのだという宣言と捉えても良いのだろうか。
 旧劇場版に耽溺する人も、「序」「破」に熱狂した人も、物語の続きを望んだのなら、「これ」が「それ」だ。
 賛否優劣はどうあれ、観る価値は絶対にあると思う。

 そしてこれから、シンジがいかに再起するのか。というか、できるのか。希望は全て無くなったようにみえる。
 それでもカヲルくん曰く「どんな時にも希望は残っている」とのことなので、取り敢えずはその言葉を信じて、完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を待とう。
 ていうか、あの、せめて、あと2年以内には公開してくださいねっ!

  ***

 そして同時上映の『巨神兵東京に現わる』
 一エンタメ作品としては、本編の『Q』よりこっちの方が遥かに上に感じました。
 実物が本当に破壊、蹂躙され、燃え盛っているという興奮。
 「火の七日間」。想像を絶する大災禍の後、いや最中にあらわれる希望。
 素晴らしかったです。


 追記:一時的とはいえ、宇多田ヒカル復活おめ! 『桜流し』良かった。

 追記2:「破」の時は何も考えずただ楽しんで観てたけど、今回は逆に観てる最中に色々考えちゃって、ありのままの映像と音を堪能できてなかったなあ・・・。もっかい観れってことですかね。

 追記3:webラジオ「そこ☆あに」でヱヴァQ特集が配信中。自分の投稿メール読まれたよワーイ。
 http://sokoani.com/archives/5266.html
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テーマ:ヱヴァンゲリヲン新劇場版
ジャンル:映画

tag:ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 庵野秀明

Comment

素朴な疑問。

 能や狂言のストーリー構成は起承転結ではなく序破急。

 Qは急のなんですかね?

>晴雨堂ミカエルさん

コメントありがとうございます。

>  Qは急のなんですかね?

旧シリーズの「旧」の意味もあるのでは、なんて言われたりもしてます。
もともとは「序」、「破」、「急」と完結編同時上映の予定だったそうです。
まあ結局完結編が来年以降に延びて完全に4部作構成になってしまいましたが。

No title

最近ようやくショックを消化して、人の感想に目を通せるようになってきました

自分的には、もうその他のアニメと決定的に違うところへ来てくれたなって
気持ちの方が大きいですね

セカイ系セカイ系言われてますけど、
実は今回の最大の特徴であるとこの「14年後」
これはそれらとは真逆のところへ来たんじゃないかなと

シンジ君にとっては怖ろしい周囲の人達の方が
よっぽどこの世界の「主人公」然として現在と向き合ってる
思えばミサトさんはずっとこういう戦いをし続けてきたわけで、
ヱヴァにとっての「戦い」は巨大物体のやり合いよりこっちの方だったんだろうと

ちゃんと旧作が表現しきれなかったところに改めて追い着いているスタッフの成熟と、
「あらゆる想いを最低限に凝縮しきった台詞」にもう涙止まらずでした
カヲル君とアスカがどこか対になってましたね

>ヒノキオさん

>自分的には、もうその他のアニメと決定的に違うところへ来てくれたなって
>気持ちの方が大きいですね
エヴァっていつまでも「ナマモノ」だなあって思いますw

> 実は今回の最大の特徴であるとこの「14年後」
> これはそれらとは真逆のところへ来たんじゃないかなと
コレ知った時は、「鬼畜の所業や!」と戦慄しましたw
この設定一つで、全ての要素に新しい意味が付加されてしまったように思います。
空白の14年間の話にもすごく興味あるので、小説か何かで補完してほしいな~

> シンジ君にとっては怖ろしい周囲の人達の方が
> よっぽどこの世界の「主人公」然として現在と向き合ってる
> 思えばミサトさんはずっとこういう戦いをし続けてきたわけで、
そういう意味じゃ、さんざん変ったと言われるミサトさんはQでも一貫してるといえますねえ。

> ちゃんと旧作が表現しきれなかったところに改めて追い着いているスタッフの成熟と、
「やりなおしたいんだ!」ってのはまさに庵野監督はじめスタッフの叫びなんでしょうね。

> カヲル君とアスカがどこか対になってましたね
シンジを助けたいのに助けられない人と、シンジに助けてもらいたいのに助けてもらえない人、って感じですかね。
二人ともメタ的な意味でも「14年」そのままなんだよなあ・・・。
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 感想

当然の如くネタバレ注意。

まとめ【ヱヴァンゲリヲン新劇】

   企画/原作/総監督/脚本:庵野秀明 監督:摩砂雪、前田真宏、鶴巻和哉 主キャラクターデザイン:貞

映画:「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」をやっと見た!~劇場で

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