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『TOKYOHEAD RE:MASTERED 1993 1995』/ほか最近読んだ本⑦

2013.02.23 02:07|
『TOKYOHEAD RE:MASTERED 1993 1995』と、『ハイスコアガール』『真鶴』などの感想です。

 
   ***

・大塚ギチ『TOKYOHEAD RE:MASTERED 1993 1995』

「すべてはこの日から始まった。『バーチャファイター』というたった一つのおもちゃが多くの少年たちを進化させていく。人間の基本性能がバージョンアップ可能なのだとすれば彼らの動体視力と指先の反射神経は間違いなく最新型へと変貌していく。そして最新型の少年たちは大きな波を巻き起こしていく。ウェルカム・リアル、リアル・ムーヴメント・オブ・バーチャファイター」。突如現れた『バーチャファイター』というゲームが巻き起こしたムーヴメントをプレイヤーたちの姿を通して描いた幻のノンフィクション『トウキョウヘッド19931995』が完全復刻。文庫化にあたり「リマスタリング」を施した最終編集版(ファイナルチューンド)として蘇る、少年たちの一瞬の夏。
 (公式サイト・ストーリー紹介より)

 1993~1995年。
 当時、僕はまだ小学校に入る前の鼻水たらしたガキんちょだった。ただでさえ記憶が曖昧なあの頃、ゲームにまつわる思い出ともなると皆無に等しい。家庭の方針でビデオゲームは買ってもらえなかったし、友だちの間で携帯ゲーム機が流行するのはまだ先のことだ。一人でゲームセンターに行ける年齢でもなかった。
 それでも一生懸命記憶の底を浚ってみると、時々家族で買い物に行ったデパートの一角に小さなゲームセンターがあったことをかすかに思い出す(今はもうない)。親に手を引かれてそこを通り過ぎる時、色とりどりの光で染め上げられ電子音とBGMで喧しいその異空間を、僕は恐さ半分憧れ半分で眺めていた・・・気がする。
 これは、あの時あの場所にたむろしていたお兄さん達の物語なのだろう。
 
 内容は、対戦ゲーム「バーチャファイター」シリーズ黎明期の歴史をリアルタイムで追いかけ、当時「バーチャファイター」に入れ込んだゲーマー達の中でも際立って実力と名声を獲得していた、“新宿ジャッキー”羽田隆之はじめ4人のプレイヤーの姿を描き出すものだ。
 4人への個別あるいは対談形式でのインタビューと、著者の大塚ギチによる彼らの物語の再構成が交互に綴られ、「バーチャファイター」1、2の熱狂の最高潮の瞬間を捉えて、この実録は一旦幕を下ろす。
 
 文庫サイズで150頁あまり、本好きにとっては読み終えるのはあっという間だ。
 が、そこに漲る「バーチャファイター」20年の歴史の端緒とプレイヤー達の想いが、重厚長大な大河物語の第一部を読んだような気分にさせる。というか、実際そうなのだろう。 

 孫引きで申し訳ないが、伊藤計劃の遺作長編『ハーモニー』('08)の文庫版解説において、伊藤計劃と佐々木敦の対談(『伊藤計劃記録』収録)が引用されており、その中で伊藤氏は以下のことを述べている。

 「僕が考えるロジックというのは、やっぱり自分が生きている状況に関する、ある種の分析になっているんですね。(中略)切実なロジックを、その切実さを残したままキャラクターに喋らせると、なんとかエモーショナルになってもらえるんじゃないだろうか。そういう期待のもとに書いている部分はあります。」

 読み終えてすぐ連想したのがこの言葉だった。
 本作は創作ではなく、実際の対戦ゲームのプレイヤー達の姿を追ったノンフィクションだ。しかし、著者には当時『東京ヘッド』を書き今また『TOKYOHEAD RE:MASTERED』として再構築するに至った「切実な」意図がある。「ゲームプレイヤー」、あるいは「オタク」、彼ら娯楽の消費者達の現況とこれからへのまなざし。

 「何かを終えた後、人はどう生きていくのか。そのオタク・ゲーム版に俺は異常な興味を持ってしまっているわけだ」
(「そこ☆あに」増刊号vol.10・佐藤大とのクロストークより)

 90年代半ばに興った「バーチャファイター」の熱狂がその後――つまりは今現在どうなったのか、あの時輝きを放った人々は今何をしてどこに向かっているのか。
 著者は、本作を皮切りに96年以降から現在までの「バーチャファイター」をめぐるプレイヤー達の物語を書き続けていくつもりらしい(文庫版あとがきより)。

 そんな「切実な」ロジックとモチベーションのもとに出来上がったこの『TOKYOHEAD RE:MASUTERED 1993 1995』から立ち上がってくるのは、やはり「切実な」エモーションだ。
 今へと繋げるための、あの日あの人々の熱狂が流れ込んでくる。
 これは記録というだけではない、紛れもない作品だ。 
 ・・・いやまああくまで僕の私見ですけどね?

 そう、勝手ながら、これは僕にとっての物語でもある。
 ゲーマーとして、という意味じゃない。むしろゲームには今でも疎い。
 90年代に生まれ育ち、しかしそこはあくまでも子ども時代、記憶はおぼろげで当時の社会への実感も今一つはっきりしない僕にとって、あの頃のポップカルチャーの様相を草の根から克明に語ってくれるこの本は、このうえない価値をもつ。
 果たしていつになるか分からないが、『TOKYOHEAD』から続くシリーズが「今」に追いついた時、僕はこの社会の過去と現在をより連続的に有機的に実感できるのではないだろうか。なんて。

   ***

 ほか、最近読んだ漫画・小説をいくつか。

 
・押切蓮介『ハイスコアガール』3巻

 矢口ハルオは、最初はにっくきライバルゲーマーだった大野晶を、改めて一緒に居たい異性として認めるように。日高小春は、ハルオへの報われぬ想いを燻ぶらせる。
 彼女と同じ高校に進むために、ハルオはゲームを一旦禁じて受験勉強に打ち込むが・・・。

 主人公の少年の成長に合わせてゲーム風俗史を描いてきた今作でも、ついに「バーチャファイター」が登場。
 もういっそ押切せんせーが『TOKYOHEAD』のイラスト担当やって! つーか大塚ギチと対談して!


・加藤和恵『青の祓魔師』1~10巻

 人間界に産み落とされた魔神(サタン)の息子・奥村燐は、運命に抗い祓魔師(エクソシスト)を目指す!

 今さらハマる。
 5~9巻の京都編は、それまでの学園内での小技の応酬からの戦闘のスケールアップを丹念に魅せていて、少年バトル漫画斯く在れと思わされた。
 それにしても、『鋼の錬金術師』『結界師』そして本作と、「~師」と名の付く漫画は兄弟ダブル主人公制になるジンクスでもあるの?w


・川上弘美『真鶴』

 母・娘と暮らし、妻子ある男と不倫関係にある主人公の女性。ある時は彼女は、今は亡き夫が残した日記から、神奈川西部の半島「真鶴」に惹かれていく。

 再読。恋愛小説なのか幻想小説なのか。主人公・京の語りは、現在と思い出と心情が綯い交ぜになって、ひどく茫洋とした作品世界を印象づけてくる。これは、そんな彼女のフィルターをこそ読む物語なのだと思う。
 そしてそこから透けて見えてくる、「真鶴」という地。そこには何もないけど何かあるはずだ、という主人公のフィルター。この「土地に惹かれる」感覚の描写は実に見事。
 
 それにしても不倫相手の青茲さんはホント気の毒だねw 絶対かげで「あの女マジ面倒くさいんですけど!」とかぼやいてるよ。

 
 追記:

 あ、『ドリフターズ』(平野耕太)も読んでた。頁をめくるごとに脳内麻薬がじゃんじゃん産出されてる気がしてイイ。黒王って絶対キリストだよなw

 ほか『虚構推理』、『ジョジョの奇妙な冒険』(第2部、第6部)、『クジラの彼』など。

 
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tag:TOKYOHEAD ハイスコアガール 真鶴 青の祓魔師

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や~青エクいいですよね

なんとなく腐向け的なニュアンスで軽視されがちですけど、
ともかく絵が巧い!
京都篇クライマックスをアニメでやって欲しいんですよね
でもA-1には荷が重そうなので今からでもボンズにならないかなぁとw

結界師も最近興味出てきました

>ヒノキオさん

コメントありがとうございます。

> なんとなく腐向け的なニュアンスで軽視されがちですけど、
pixivとかでもそのテの二次創作のまあ多いことw ハーレムものの過剰供給とはまた違う力学なのかな・・・

> ともかく絵が巧い!
月刊連載だから描き込みの余裕があるのも大きいのか、ホント丁寧で見栄え良いですよね。単行本表紙のちょっと青みがかった色彩もたまらんです。

> 京都篇クライマックスをアニメでやって欲しいんですよね
> でもA-1には荷が重そうなので今からでもボンズにならないかなぁとw
あーそうか、アニメだとキャンプ編の後オリジナルエピソードだったんでしたっけ。
ボンズの重力たっぷりのアクションは、本作と相性良いでしょうね。元々『DTB』の岡村天斎監督がてがけたんだから、最初からボンズでも良かったのにw

> 結界師も最近興味出てきました
結界師も本作に負けず劣らず絵がしっかりしてて(週刊連載だったのに!)、作品テイストもわりと近いのでおススメです。主人公の兄弟関係はもっとギスギスしてますがw
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