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『ラブライブ!』≒『ウォーターボーイズ』系作品説

2013.04.08 06:55|比較考察
 2013年冬クール自分がハマったアイドルアニメ『ラブライブ!』について、実写映画『ウォーターボーイズ』からの流れを汲む『スウィングガールズ』『フラガール』等を絡めて考えてみようという記事です。カット割りとか地域性とか脚本家論とかそういう話はしてないので先に念のため。
 『惡の華』が東海でまだ観られないムシャクシャを解消するために書きました。

 また、今回はいつもと趣向を変えてキャプチャ画像を大量使用してみました。
 
 
   ***

 『ラブライブ!』

 秋葉原と神田と神保町という3つの街のはざまにある伝統校、音ノ木坂学院は統廃合の危機に瀕していた。
 学校の危機に、2年生の高坂穂乃果を中心とした9人の女子生徒が立ち上がる。
 私たちの大好きな学校を守るために、私たちができること……。それは、アイドルになること!
 アイドルになって学校を世に広く宣伝し、入学者を増やそう!
 ここから、彼女たちの「みんなで叶える物語」( スクールアイドルプロジェクト)が始まった!

 (公式サイト・ストーリーページより)

 自分がこのアニメを初めて観たのは、放送中の頃の第5話。
 その後ニコ動配信の第1話からを観て、それから第6話以降をリアルタイムで観ていった。

 観てまず思ったのが、これ「アイドルアニメ」っていうか「コメディアニメ」として面白いなあ、ということで。
 まず主人公の高坂穂乃果が相当なバ・・・能天気な性格で、言動がいちいち抜けてて面白く、他のキャラクター同士のかけあいも互いの個性がぶつかって可愛い笑いを生む。そして物語も、彼女たちがスクールアイドルとして頑張っていくひたむきさを真摯に描き出す一方でちょくちょくコメディ的展開・演出を仕掛けてくる(たとえば第一話で、ほのかが廊下をスキップして進んでいく背景に「廃校」の張り紙がずらーっと並んでいくところとか)。
 特に初見の第5話「にこ襲来」が、登場人物の中でもいじられ役コメディリリーフ的立場にある矢澤にこがフィーチャーされた回で、彼女を中心に全編コメディ(ってかコント?)演出にあふれていた。

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 ↑まずこのシーンでめっちゃ笑った。

 自分は正直「アイドルアニメ」に疎く(ちゃんと観てたのは去年の『アイドルマスター』くらい)、そういう文脈の作品は見辛いかなと感じていたのだけれど、『ラブライブ!』はこれならコメディ作品として普通に見れるなあと、第6話以降楽しんで観ていた。
 しかし一方で、「このコメディタッチ&ティーンズの集団ショー物語って、何か見覚えないか・・・?」という奇妙な既視感をおぼえていて。そして10話くらいまで観た時ふと気づいたわけです、「あ、これって『ウォーターボーイズ』とか『スウィングガールズ』の系譜にある作品じゃね!?」と。

   ***

 『ウォーターボーイズ』
 2001年公開の実写映画作品。監督は矢口史靖
 5人の男子高校生が、学園祭での男子シンクロ実現のために奮闘する姿を描いた青春物語だ。
 男子のシンクロという新鮮な切り口、矢口監督の秀逸なコメディ演出が噛み合わさり、本作はクチコミから徐々に人気を広げて最終的には大ヒットといえる興業収入をおさめ、数々の作品賞・個人賞にかがやいた。
 この作品の登場・ヒット以後、「若者が集団競技・ショーに奮闘する姿をコメディタッチで描く」タイプの映画・TVドラマが注目され、玉石混交のフォロワー作品がいくつも作られることになる。
 『ウォーターボーイズ』も続編にあたるTVシリーズ二本とスペシャルドラマが作られ、そして矢口監督自身も後に「女子版『ウォーターボーイズ』」とも言うべき同じテイストの『スウィングガールズ』を制作した(また、矢口監督は現在では『ハッピーフライト』『ロボジー』等、物語の舞台を空港や中小企業などの仕事場、登場人物を皆社会人にして、作風はそのままに話を「ティーンズの青春」から「お仕事もの」にアップデートしたコメディを撮り続けている)。

 このウォーターボーイズ以降のコメディタッチ&集団競技・ショー作品の系譜に、アニメ『ラブライブ!』を位置づけてみたらどうだろうというのが、この記事のテーマです。
 代表として取り上げるのは、まずムーブメントの原点である『ウォーターボーイズ』、女子ものとしてより『ラブライブ!』と比較しやすい『スウィングガールズ』、物語のモチベーションとして共通している『フラガール』の三つ。

   ***

 まずは作品の物語を追いつつ、その共通点をみていこう。

 『ウォーターボーイズ』の物語の始まりはこうだ。
 主人公の鈴木妻夫木聡)が水泳部の大会でビリになり、失意のなか目にしたシンクロナイズドスイミングの映像に魅せられ、そして部の新任顧問(眞鍋かをり!)から実際にシンクロを勧められる。
 鈴木は4人の仲間を集め、学園祭での男子シンクロ公演に向けて、シンクロ訓練、プール使用許可申請、パトロン確保、チケット配り等々、数々の難題に挑むことになる。 

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 ↑左から、チャラ男、ヘタレ、ヘタレ、バカ、ガリ勉と、色々とどうしようもない面子。

 『ウォーターボーイズ』が新しかったのは、こうしたストーリーを、ひたすら艱難辛苦に堪え熱い友情でぶつかり合い激しい訓練に励み・・・といった、ほとんどマゾみたいなスポ根ものにしなかったこと。
 メイン5人のかけ合いや喧嘩はひたすらボンクラ臭く面白可笑しく・・・つまり「不真面目」に描かれ、訓練や課題を乗り越える様子も終始適当で奇抜なものだ。
 たとえば、5人にシンクロを教える師匠キャラに当たるのが竹中直斗演じるイルカ調教師のオッサンだが、彼の正体はただのクズ人間。シンクロ訓練という名目で水族館の掃除をさせたりゲーセンに置き去りにしたりするばかり。しかしそれが結果的に、彼らにシンクロの技量を身に着かせていく(水族館で魚の自在な泳ぎを覚え、ゲーセンのダンスゲームでチームダンスをマスター)。

 だからこれは、見方によれば、真剣味のない「ご都合主義展開」極まりないストーリーだ。キャラクター達は練習すればすぐその成果が表れるし、課題に向き合えば思いもよらぬところからすぐに解決案が飛び込んでくる。
 でも、それは物語から堅さや暑苦しさをオミットしてコメディとしての楽しさ、可笑しさを優先しているからで、また一応のロジックは付けられている。ご都合主義というより、中途の描写・時間経過を省いている感じ。
 
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 で、この作劇は、『ラブライブ!』にも同じことが言えるんじゃないか。
 話はリアリティよりもキャラクター各々の魅力をみせることが重視されていて、急ごしらえのアイドルグループにもかかわらず皆最初から歌やダンスが上手く、活動の障害はトントン拍子で解決・改善されていく。
 しかしその理由や過程は、「ご都合主義」っぽくありつつも、一応は最低限の描写がなされている。たとえば、PV演出を織り交ぜスキルの上手さにエクスキューズをつけていることとか、(最初は)敵対する生徒会側に協力的な人物がいたり、理事長も彼女たちに理解を示していたり・・・。

                 
 そして『ウォーターボーイズ』は男子高校生の物語だが、同性の仲間たちと結束しその時間を楽しむシチュエーション、いわゆる「ホモソーシャル感」も本作と『ラブライブ!』に共通する魅力のひとつ。
 ボンクラ男子5人が馬鹿やりつつシンクロ公演目指して活躍する姿が、本当に楽しそうに描かれている。
 ただし『ウォーターボーイズ』には異性との恋愛要素はあって。主人公・鈴木はシンクロにいそしむ一方で、女子高の女の子と知り合い親交を深めていく。そしてそれが、物語終盤で大きな意味を持つことになるのだが・・・。

 では、『ウォーターボーイズ』女子版の『スウィングガールズ』ではどうなっているだろう?

   ***

 『スウィングガールズ』
 2004年公開、『ウォーターボーイズ』と同じく矢口史靖監督作品。
 山形の共学高校で自堕落に過ごす主人公の女子高生・鈴木春子上野樹理)。彼女はともに補習をくらった級友たちと一緒に、野球部の応援演奏に出ている吹奏楽部のもとへ弁当を届けに行く。しかし炎天下での寄り道が原因で弁当を腐らせ、吹奏楽部全員を食中毒に追い込んでしまう。
 彼らの代理として、春子たちは吹奏楽・・・それも「ジャズ」に取り組むことになる。

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 ↑本仮屋ユイカの地味子ぶりがイイ。貫地谷しほりはこの頃から太ってるのか痩せてるのかよく分からん。

 登場人物や種目は全く違うとはいえ、作品の基調やストーリーの構成は『ウォーターボーイズ』とほとんど同じ。そしてキャラクターのボンクラぶりも『ボーイズ』そのままどころか『ガールズ』の方が悪化しているくらいだ。
 作品主題のジャズをやる切っ掛けとなった食中毒騒ぎからして主人公の自業自得だし、その後も皆なかなかやる気を出さないわ、楽器費用を稼ぐためのバイトで営業妨害を起こすわ次は松茸密採を行うわ、ガールズ全員に矢澤にこ級のクズ属性が実装済みであると言って良い(しかもあざとさゼロ)。
 本作を観ていると、アニメ『ラブライブ!』の女の子達がいかに空想上の産物かが身にしみて分かる。まあアニメと実写は描き方やコンテキストが違うものだから・・・。

 『スウィングガールズ』もまた女子ばかりの集団を描くホモソーシャルな物語で、そして『ウォーターボーイズ』と比べると異性との恋愛要素は作品の根幹ではなく申し訳程度だ。
 実は「ガールズ」とはいっても、春子たちが代理結成したジャズグループには唯一食中毒を免れた吹奏楽部の男子が一人いるのだが。彼はガールズの横着ぶりに終始頭を抱え、何か彼女たちを一つにまとめようと悪戦苦闘していて(余談だが、この様子はかつて高校時代に女子ばかりの文化系部活に所属していた身としてはいたく共感した)、誰か一人と恋仲になるなんて余裕はない。中盤で、春子との雪合戦の最中にふと見つめ合ったりするのだけれど・・・それ止まりで有耶無耶になる。メンバーのうちバンド出身の二人のキャラには元カレがいるが、彼らと復縁することもない。
 この、矢口監督が女子のホモソーシャルな物語を描いた時の男子=異性性の弱さの延長線上に、『ラブライブ!』を含めた今のアニメの女の子のキャッキャウフフ作品(『けいおん』『ゆるゆり』etc)の異性性・恋愛要素排除の状況を置くことができる・・・かも?

   ***

 そんな風の『ボーイズ』も『ガールズ』も、クライマックスの集団パフォーマンスは圧巻の出来だ。

 『ウォーターボーイズ』は、映画撮影中の合宿でキャストが実際に作り上げた、男子31人のシンクロナイズドスイミングを、そのまま撮ったようなストレートな演出で惜しみなく魅せる。PUFFY「愛のしるし」をはじめ、演目のBGMに使われた楽曲のチョイスも見所。そして公演終了直後からのエンドロールで、ウォーターボーイズの退場をメイン5人もその他モブキャラも等しく映し出していくカットに、本作のパフォーマンス・ムービーとしての真価がある。

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 『スウィングガールズ』は、クライマックスの吹奏楽コンサートで、ジャズの演奏の巧拙ではなく演者の即興的アンサンブルの特性を活かした、登場人物の個性や関係を表現する合奏シーンを魅せつける。
 最近のアニメ作品でたとえるなら、去年の『坂道のアポロン』第7話の迫真のジャズシーンが、もっと長い時間、もっと多い人数で、もっと「高校生らしい(=つたなさのある)」スキルの塩梅で観られるということだ。あの場面が気に入った人には是非おススメ。
 映画公開当時は、キャストが実際に「スウィングガールズ&ボーイ」として各地で公演を行っていた。

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 そして『ラブライブ!』もまた、アイドルものとしてのPV・ライブパートの作り込みで魅せる作品だ。
 CGダンスのクオリティは、たぶん業界最高級のものじゃないか? かつ、違和感を限りなく薄めたCGシーンを手描き作画のものと交互に映すことで、視聴者のかかえる「不気味の谷」を何とか突破しようというスタッフの挑戦が見て取れる。
 こうしたCGモーションがいつか「人間らしいぎこちない動き」まで表現できるようになった時、日本のCGアニメは完成したと言えるのかもしれない・・・。

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 ↑(左)キャプチャだとやっぱ今イチ伝わりにくいかな。

   ***

 ここまでは『ラブライブ!』と『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』の共通性を考えてきた。一方で、その2作にはない『ラブライブ!』の重要なファクターがある。
 それは、物語の出発点というか、モチベーション。
 アニメ『ラブライブ!』は物語の(一応)の目的として、「廃校阻止」がある。そもそも廃校の危機を回避するために、スクールアイドル活動で人を集めようと穂乃果はスクールアイドルグループ「μ's(ミューズ)」を結成する。
 この要素に対応するウォーターボーイズ以降の実写作品として、『フラガール』がある。


 『フラガール』
 『ウォーターボーイズ』的なコンセプトのフォロワー作品の勢いもそろそろ静まろうとしていた2007年に公開され、しかしその亜流作品の金字塔となった一作。その年のキネマ旬報読者賞1位、日本アカデミー賞最優秀賞を受賞した。
 監督は李相日。他作では『悪人』(2010)の高評価が記憶に新しい。
 物語は1960年代の福島県は常磐炭鉱が舞台。
 時代の波により炭鉱は次々と閉鎖され、常磐炭鉱も閉鎖決定を余儀なくされることに。発生する大量失業の埋め合わせとして、経営陣は常磐ハワイアンセンター設立を企画する。そこでセンターのフラダンスの踊り手として、炭鉱労働者の家族から娘たちが募集され、コーチ役のダンサーが招聘される。
 彼女たちがフラダンス特訓に挑み、ハワイアンセンター開設公演が行われるまでを描く。

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 この、「共同体の場崩壊阻止のために集団ショーに取り組む」というモチベーションは、『ラブライブ!』とも共通している。また、「ダンス」という要素も、前二作よりも一層『ラブライブ!』に近しいものだ。主演の蒼井優の腰つきがヤバいです。凄いです。エロいです。
 ・・・まあ、本作に関してはその辺が共通してるってだけで、全体の雰囲気としては対極と言っていいほどかけ離れている。

 まず、物語の裏には、時代の節目には女性たちが新たな労働力・見世物として徴用される・・・というめっちゃ重い女工哀歌的な歴史背景があって、初っ端から相当に辛気臭い。
 ダンスとその訓練シーン以外の炭鉱の日常パートは常に煤けた色合いで描写され、コメディ要素もあるにはあるが、ほとんど泣き笑いのおもむきだ。劇中でフラガールたちに待ち構える障害も、メンバーが家族から虐待を受ける、失職して別天地へ移る、ショーの前に落盤事故で家族が死ぬ等々、ちょっと洒落にならない。
 だからこそ、そんな重苦しい世界から自由になるフラダンスパートが一際華やかに輝き、終盤のセンター開設公演では率直な感動を観客は味わう。それ故に、『ウォーターボーイズ』の亜流に留まらない個立した直球の感動モノとして世間的評価も高いものになったのだろう。

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 ↑(左)ギスギスした蒼井優の家庭。 (右)フラガールの面々。何か遠近感おかしい。 

  ***

 さて、自分が『ウォーターボーイズ』系作品との共通性を見出した『ラブライブ!』だが、第12話からは一転、穂乃果のダウンを切っ掛けに、μ'sの存在意義や穂乃果の内面をめぐるシリアスな物語に突入していく。

 ここで再び『ウォーターボーイズ』と対照させてみよう。
 終盤。幾多の困難を乗り越え、いよいよシンクロ公演開始が迫る。メンバー達が着替える中、鈴木はむくれた表情で座り込んでしまう。
 公演に駆けつけた大勢の観客の中に、あの付き合い出した女の子がいるからだ。今まで、彼女の前では終始おどおどして頼りない姿だった鈴木。土壇場で彼は弱気になる。

 そんな彼をメンバーの一人が叱咤する。
 「お前が一番シンクロを恥ずかしいと思ってんだろ、違うか!?」
 その後、イルカ調教師にも言葉をかけられ、鈴木は奮起してプールへと飛び込んでいく。そして彼は吹っ切れたように、彼女の眼前で演技を披露する―――。

 これが、ずっとコメディチックに振舞ってきた本作が、唯一、一番、「マジ」になった場面だ。
 つまり映画『ウォーターボーイズ』は、集団ものでありながら、主人公・鈴木の物語としては、彼が自身のルサンチマンやコンプレックスを克服していくものだったということだ。そのための鈴木の「ヘタレ」描写があり、「男子のシンクロ」という奇抜さ=気恥ずかしさがあり、異性との恋愛要素があった。

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 『スウィングガールズ』もまた、目標のコンサート会場へ向かう列車が豪雪でストップしてしまう。
 そこで意気消沈するガールズだが、誰ともなく楽器を鳴らし始め、それは周りに共鳴していき、改めてジャズ演奏自体の楽しさが皆に刻み込まれる(その後、何とか会場へ到着する)。

 コメディ的でありつつも、物語のクライマックス直前で立ち止まりシリアスな展開を入れる。そこで主人公とその物語の意義を再確認する。それからは一気に最大のカタルシスへ。
 この二作の在り方を、『ラブライブ!』終盤の展開に重ねて見ることはできないだろうか。ていうか、スポーツもの、集団もののストーリーの型としてはわりと一般的かなとも思う。
 
   ***

 そして『ラブライブ!』は、そんな話法をさらに先鋭化した物語になっていた。

 穂乃果が熱で倒れたことにより、μ's一同はハードなスケジュールを組むことに消極的になる。その末に、当初の最大目標だったアイドルの祭典「ラブライブ」のエントリーを取り消してしまう。
 メンバーの一人のことりは留学を決心しつつも秘密にしてきたが、ここへきてついに穂乃果にそれを打ち明ける。そして廃校の危機も、来年度の入学希望者が一定数を超えたことにより解消される。
 そんなこんなで、μ'sの存在意義、リーダーの穂乃果のモチベーションはどんどん解体されていく。
 そして特にことりの留学に衝撃を受けていた穂乃果は、とうとう「スクールアイドルを辞める」と宣言してしまう。
 
 この畳みかけは、特に「ラブライブ」へのエントリー取り消しが象徴するように、作品の本当の「主題」が何だったのかを問い直す構成になっている。

 急に自由の身になった穂乃果は、久しぶりに他の級友たちと遊びに興じるなかで、少しずつ心中を整理していく。
 その時の彼女の独白が良い。
 (今度は、誰も悲しませないことをやりたいな。自分勝手にならずに済んで、でも楽しくて。沢山の人を笑顔にするために、頑張ることができて。・・・そんなもの、あるのかな。)
 これに対して、ぼくら視聴者は「ないよね」と言うか、「あるよ」と言えるか。そして彼女自身がどう答えを出したか。
 それは個々人で観て、或いは思い返して、確かめてもらいたい。そろそろ説明するのが面倒くさくなってきたとかそういうのではないデス(棒読み)

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 たぶん、この作品開始当初は視聴者の多くが、μ'sが「ラブライブ」に出場してそのステージでのライブが最終回になると予想していただろう。僕もまた、『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』のように最後には「最大」のステージが待っていると思っていた。
 それを本作は終盤でブレーキをかけ、各要素を相対化・解体して、μ'sの「始まり」のステージを回帰点として物語に幕を下ろした。
 この尖った構成は、『ウォーターボーイズ』系作品の系譜から飛び出した、この作品独自の色だなと思った。


 ・・・えーと、そんなわけで、今まで語ってきたことわりと関係なかったねという結論に落ち着いてしまったわけですが。だってそもそもTVアニメと実写映画を等列に語ろうってこと自体が無茶苦茶なんだよ!(セルフツッコミ)
 まあでも全体や要素毎では『ウォーターボーイズ』をはじめ『スウィングガールズ』『フラガール』等と共通性が見受けられるので、興味ある人はこっちも観たらいいんじゃないかな! ラブライブ沼とウォーターボーイズプールを繋いで塩素混入でえらいことになればいいんじゃないかな! という締めで。はい。
 
   ***

 追記:
 作品放送当初、こんな論議があったそうで。↓

 こうやってラブライブを試聴(原文ママ)することのハードルが上がっていく-隠れてていいよ

 色々と面白かった。


 追記2:
 『ラブライブ!』が実際に『ウォーターボーイズ』系作品の話法を参考にしていたかどうかは自分には分かりません・・・ていうかおそらくそうではないでしょう。
 これはあくまで、「こう観るとこの作品を楽しめるんじゃないか」という自分の作品の観方の提示です。
 
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テーマ:見たアニメの感想
ジャンル:アニメ・コミック

tag:ラブライブ! ウォーターボーイズ スウィングガールズ フラガール

Comment

No title

ラブライブ!そんな面白いことになってたんですね

アイカツ・プリキュア・ジュエルペット・プリティーリズムetc・・・
それぞれ人によっては熱く語るけれどまとめて俯瞰した時に頭がゴッチャゴチャになって、
本作も1話見ただけで「ほらまたゴッチャになった!」と
なんだか脳が飽和していく感じがして止めてしまいました
敢えて自分は「アニメの『アイマス』」一本絞りでいきたいってのもあるんですけど.

このテの路線は海外の女子ファン人気高しって印象です(アイマスだけ不人気)
AKB0048も結構海を超えると人気なんですよね

異性要素を排してはいても
『レールガン』なり『ゆるゆり』なりは結構、ガチのビアンの方々からも支持受けてるみたいですね
『ゆゆ式』の1話も妙にスキンシップが艶っぽいような・・・アニメの需要の裾野がいつのまにか、
送り手の企図したものを超えて細く長く広がっているような

僕は『ウォーターボーイズ』系譜の発端は、
同じアルタミラ制作の『がんばっていきまっしょい』じゃないかなという気がしています。
ここでの中嶋朋子の台詞が『フラガール』でもまんま使われているので、繋がったな、と.

ラブライブ!いずれ再チャレンジしてみます.
一度切った作品をちょっと間を置いて見る、ってのがまた
リアルタイムとはちょっと違う楽しさありますよね~

>ヒノキオさん

コメントありがとうございます。

まあ「アイドルアニメ」としてどうなのかは自分にはさっぱりなので、こういう感想を書くにいたりましたが、他の人にもこの通りに見えるかはかなり疑わしいです。

> このテの路線は海外の女子ファン人気高しって印象です(アイマスだけ不人気)
> AKB0048も結構海を超えると人気なんですよね

ああ、海外の女の子たちにどう見えているのかは気になりますね。
日本のアイドルのお約束とか、そういうのは何となく分かっていくのかなあ・・・

> 『レールガン』なり『ゆるゆり』なりは結構、ガチのビアンの方々からも支持受けてるみたいですね
あ、そうなんですか。
『「ゆる」ゆり』っていうくらいだから、ガチの方達からの人気はそんなでもないのかなあと勝手に思ってました。

> 僕は『ウォーターボーイズ』系譜の発端は、
> 同じアルタミラ制作の『がんばっていきまっしょい』じゃないかなという気がしています。
ああ~そうか! それがあったか!
いずれまた観直して感想等書きたいです。『フラガール』との繋がりも気になりますね。今は田中麗奈がすごい可愛かった記憶しかないw
そういや田中主演で『ドラッグストアガール』って映画もあったなあ・・・

> 一度切った作品をちょっと間を置いて見る、ってのがまた
> リアルタイムとはちょっと違う楽しさありますよね~
それが思いのほか良かったりすると、全然印象変わりますよね。
そもそも『ラブライブ!』も観る前から「これはいいや」って思ってて、Twitterのフォロワーさん達の好評を知らなければ観ることはなかったかも。

最近はTwitterのTLからアニメ情報や感想を取り入れることが多く、もっと早く始めておけばよかったなあと後悔中です。

追伸 管理人さんへ。

現在ラブライブは2期が放送中です。
この話で、μ'sはラブライブに参加(出場)しました!。(今は地区予選を突破したけど。(公式hpのあらすじより))これからの展開が気になりますが、僕はμ'sを応援します!。
もはやラブライブはウォーターボーイズ同様シリーズ化されて人気作になりました。
がんばれ!μ's、みんなの夢が叶えられるその日まで。

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>SPさん

SPさんはじめまして。コメントありがとうございます。
大変申し訳ありません、ここ1週間ほどブログにログインしておらず、コメント通知を読んでいませんでした。表示と返信が遅れたことを深くお詫びします。

> 現在ラブライブは2期が放送中です。
2期、少しずつ追いかけて視聴中です。相変わらず面白いですね。1期は矢澤にこ加入回からハマって観始めたので、2期でもにこメインの話は特に面白かったです。
この1年前の記事に書いたことと照らし合わせる意味でも、今度も最後まで楽しんで視聴していきたいと思っています。

>管理人さん

管理人さん。ネットで見たんだけど、2期10話でμ'sが凄く人気者になりました(ラブライブに出場しました。)。
後はラブライブの優勝を祈ります。
追伸
μ'sも現実世界と同じくアニメでもラブライバー(女だけど。(ちゃんと男もいます))が生まれました。
本当にμ'sは女神(ヴァルキリー)だ!!!。
後、2期放送終了後にこの作品の原展となるウォーターボーイズのドラマ版がファミ劇で来月放送します。
管理人さんもぜひ見てください!。

もう一度追伸

管理人さん、μ'sが予選を突破してラブライブ本選に出場しました!。これからの展開が気になります。
後ファミ劇でラブライブの原点であるウォーターボーイズのドラマ版が来月放送します。見てください。
ps.管理人さんコメントをロックしないで、ログインして見せてください。

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Re: SPさん

コメントありがとうございます。
本当にすみません、またしばらくブログを放置していてコメントにきづきませんでした。
重ねてお詫びします。

二期本編もまだ周回遅れで観ている状態ですが、三年組の卒業やグループ全体の存続にきっちりけじめをつけようという作劇で、良い感じですね。

ウォーターボーイズもまた見返したくなってたので、再放送観るつもりです。

重大発表(ネタバレ注意)

μ'sが遂にラブライブ本大会に出場しました!。
そしてこの大会が終わったら、なんとμ'sが解散しることになりました。
来週から最終回なのでどんな、結末になるのかお楽しみに。(僕は見ないけど。)
もう一度言うけど、来月にはラブライブの原典となったウォーターボーイズのドラマ版がファミ劇で再放送します!。
ぜひ見てください。

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江楠

Author:江楠
 
東海在住。 

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