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最近読んだ本⑨

2013.10.20 15:53|
 久々に読書感想。あれからだいぶ読んだけど大半忘れたので、とりあえず印象に残ってるものだけ。漫画ばっかり。
 
 
   ***

・小林尽『夏のあらし!』

 改めて、最初から通しで読了。
 少年・八坂一が幽霊の少女と過ごした一夏の物語。

 「良かった」とか「凄い」とか、そういう単純な語彙で語りたくない、いっそ言葉にすると本作から受けた感慨が逃げてしまいそうですらあるんだけど・・・。
 それでもまず、「漫画としてめっちゃ面白い!」と言っておかなくては。 

 絵柄と話の組み合わさりぶりが本当に素晴らしい。
 作者のくっきりした描線・グレーを抑え白黒のコントラストを強調した画風が、夏の眩い日ざしの中での物語と上手く結合している。そしてクライマックス、「真っ黒な人々・光景」を描くに至って、その持ち味がさらなる真価を見せる。あの灼けつくような、黒! 戦争は黒い、という強烈なイメージ。
 そんな絵の黒に、あるいは膨大な引用史料の文字の黒に、終盤は紙面が、作品自体が塗りつぶされそうになっている。そして、主人公のとっての本当の喪失は、見開きの真っ白な世界。
 その過酷なエピソードを経た後、現代に帰還した主人公は、長大な自転車旅行をすることで、「今」「ここ」に自らの足跡を刻もうとする。白い陽光の下で。それは物語的にも、おそらく作者にとっても、自らの感覚を、作品の主導権を取り戻すある種の浄化の儀礼だったのではないか。

 『夏のあらし!』は、作者の突発的な傑作というわけではなく、「恋」「記憶」「仲間との時間」の要素は前作『スクールランブル』から引き継がれているものだ。特に、終盤の「忘れられてもあなたが好き」(スクラン)と「あなたが好きだから忘れない」(あらし!)というテーマ(要約)の対比はなかなか面白い。
 あるいは、仲間と過ごした時間が未来に希望をもたらすのが『スクラン』・過去を救うのが『あらし!』という見方もできるかなあ。
 そういう、「記憶・時間の蓄積」が作者の抱えるテーマなのかしらん、などと妄想して見る。あ、『一路平安』も読まなくちゃなあ・・・。


 ・高橋葉介『夢幻紳士 新・怪奇篇』

 夢を渡り歩き化け物達と相まみえる謎の美青年・夢幻魔実也の、新たなる怪奇譚。
 これもまた、漫画媒体の特性を存分に活かした作品。

 単行本としてまとめて読むと、ほぼ全てのエピソードが「“怪奇”が右から左へと流れていく」パターンだということが分かる。話には何かしら「道」「進行」「追う・追われる」等の要素があり、そこに幽霊や怪物、超常現象などが絡んで、ストーリーが「進んで」いく。そして夢幻紳士が現れ、起きた怪奇を時に解決し時にやり過ごし、事の終結とともに彼もまた去っていく。

 そんな構造が最も象徴的なのが6話目の「ぐるぐる」。少女が頁の右から出てきた「夫に殺される」と慌てる女に出会い、女はそのまま頁左の方向へ逃げ去っていく。次に「妻に殺される」と言う男に会い、彼も去る。と、少女の前に再び女が現れ、また去り、次には男が通り過ぎて、そのまた次には女が・・・、という話。

 また、その「ぐるぐる」の男女は「周回」ごとにだんだん身体が腐り果てていく。他の話でも、生きた人間が死体になっていったり、かと思えば死体が生き返ったり、無機物が命を宿したり・・・と、文字通りの右から左への進行とともに、生➝死、死➝生という「命の進行」を描く作品でもある。

 そうした「進行」「円環」のイメージに満ちた物語群が、「右から左へページを繰り読み進んでいく」という日本の漫画形式と見事に同期する。読者は怪奇が次から次へと現れる一本道をずっと進んでいるような、或いは話毎に同じところをぐるぐる回っているメリーゴーラウンドに乗っているような、絶妙な陶酔感を味わう。
 そして、行き着く最終話がどんなストーリー構成になっているか。自分はほとんど感動してしまった。
 妖しく美しい傑作。

 文藝別冊で高橋葉介ムックも発売中だ!

  ***

・西炯子『娚の一生4 結婚』

 3巻で物語的には区切りを迎え、結婚した二人のその後を描く特別編。
 海江田がこの期に及んで、ていかその年に反してガキっぽ過ぎるきらいもあるのだけれど、自分だって老けてもあれくらいのメンタリティかもしれないと思えちゃうしなあ・・・w
 ともあれ本編のあれこれが落ち着いた後の話なので、その時ほどは「あの二人はどーなっちゃうの~??」って気負いなく読める、良いデザート的な最終巻でした。


・石川雅之『もやしもん』13巻

 「大学生もの」としてはこれで最終回でもいい気がした。
 そして、大人になるということ、時として親とは刺し違える覚悟ででも向き合わなきゃいけない時があるということ、についての話。
 これまた色々共感できてしまったなあ。


・伊坂幸太郎『砂漠』

 『何者』とわりと似た「観察タイプ」の主人公が入学早々に彼女をつくり「その事については詳しくは語らない」とか書いていて、「スカしてんじゃねえよテメー!!」と激おこ。作品全体としては大変面白かったです。


・鎌池一馬/冬川基『とある科学の超電磁砲』

 9巻まで読了。学園都市の運動会「大覇星祭」、能力者たちがあの手この手で競技に挑む模様がすっげー楽しい。ていうか何で禁書目録の方でコレ描かなかったんだ。一方祭の裏で進む策謀、それに立ち向かう美琴、呉越同舟的に協力する食蜂。妹編以来の長編エピソードになりそう。
 冬川基先生の構図・画力のキレはそろそろ超サイヤ人レベルに達しようとしている。


・荒川弘『銀の匙』

 第9巻、八軒と父親とのやりとりが、もう・・・。今までさんざん父に萎縮していた彼が、なけなしの勇気を振り絞って自分の権利?プライド?を主張する。『もやしもん』13巻に連なるものを勝手に感じた。
 アニメは、2期は何とかここまで行ってほしい。


・柳原望『高杉さん家のおべんとう』

 7巻。あれよあれよという間に高杉も三十路過ぎ、久留里も高2。あの人があの人を振って、あの人とくっついて・・・。気づけば皆変わっていく。各人物の成長を本当丹念に描いてるなーと思う。


・茂木清香『pupa』
 
 兄が妹に食べられちゃう(物理的に)話。エロ、グロ、伝奇、近親愛の見本市といった感じ。終わり方次第では傑作にも失敗作になりそうな、かなり危なっかしいセンスのもとに描かれている。
 2013年秋アニメ化っていうけど、もう10月後半なんですが。一体いつ放送するんだ・・・? つーかできるのか?


・荒川稔久『小説 仮面ライダークウガ』

 TV本編から現実と同じく13年の時を経た後日談。連続殺人の謎、警察機構の活躍、精細な地理時間描写・・・ これは刊行が半年遅れたのもやむなしと思わされる、異常なディティールの凝りようはまさに『クウガ』。最後には本気で欺かれた仕掛けも。
 ヒーローを求め、しかしヒーローがいなくてもいい世界をより求める者達の物語。
 本編のスタッフ・キャストを揃えるのは困難な今、小説でこそやれた『クウガ』だね。

   ***

 ほか、『源君物語』『式の前日』『山賊ダイアリー』『ひとりぼっちの地球侵略』『3月のライオン』『当て屋の椿』『コッペリオン』とかも読んだ・読み進め中。

 アニバタvol.4・5も、vol.6が出るまでにはちゃんとした感想を・・・
 
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テーマ:漫画の感想
ジャンル:本・雑誌

tag:夏のあらし! 夢幻紳士

Comment

夏のあらし!は途中からもう一冊読むのにイチイチ覚悟がいって、
7巻読んでから最終巻読むまでに一年半かかるという有り様でした

でもその一年半の間、自分はどう終わって欲しかったのかよくわからない
いざ読み終わってもよくわからないという・・・しかしあの「黒い」ページの数々
こういうのが読みたかったことだけは確かです
子供の頃はジャンプでも北条司の『少年たちのいた夏』とか
少年誌でも普通に夏は戦争モノがあったんですよね
この系譜は消えないで欲しい

『一路平安』は打ち切り作品なのでハンパな出来ではあるのですが、
「へとへとになるまで自転車を漕ぐ」というモチーフは
どうしようもなく『あらし!』と地続きでした
真っ黒に染められる戦争と対比して真っ白に燃え尽きる生.

『砂漠』はムカついた記憶しかありませんでしたw
なに思い出自慢?っていう.
伊坂小説は主人公が気取ってるか物理的に半殺しにされるかで両極端ですよね
後者が大好物です 魔王~モダンタイムスの流れとか マンガ版のアレンジも凄い

レールガン、8巻までしか読めてないんですが
冬川先生はあくまでキャラに寄り添ってドラマを展開させて、
俯瞰した時にそれぞれの運命が「交錯」する瞬間をジッと待っている、そんなイメージです
インデックスのコミック版が話飛ばしまくりの歯抜け状態だけに、
余計あの強靭さが引き立つ
最初はかまちーも話に協力云々言われてたけど、そろそろ絶対冬川先生の創作が大きいと思う・・・w
禁書3期より電磁砲3期を.

>ヒノキオさん

コメントありがとうございます。

> 夏のあらし!は途中からもう一冊読むのにイチイチ覚悟がいって、
> 7巻読んでから最終巻読むまでに一年半かかるという有り様でした

ぼくは逆にかなりの短期で読んでしまったために、最終話までに吟味する時間が足らなかったんじゃないかと後悔してたりしてw
これからじっくり再読していきます。

> 少年誌でも普通に夏は戦争モノがあったんですよね
> この系譜は消えないで欲しい

過去の戦争が遠くなった一方で未来に起こり得るかもしれない戦争が近づいているような今、あの時期の検分はより切実に必要とされていると思います。
ていうか『夏のあらし!』、ガンガン(WING、JORKER)で連載されてたんだよなあ・・・誌風からは想像しにくい。

> 『一路平安』
まあ、読むぶんには短くて良いかなw
しかも「自転車」が出てくるとあっては、これは必読ですね。

> 伊坂小説は主人公が気取ってるか物理的に半殺しにされるかで両極端ですよね
ああ、自分はむしろ後者の方をあんまり読んでないかも・・・
魔王やモダンタイムス、評を聞く限りは期待できそうなので、いずれ時間を作って読もうと思います。

> レールガン、8巻までしか読めてないんですが
> 冬川先生はあくまでキャラに寄り添ってドラマを展開させて、
> 俯瞰した時にそれぞれの運命が「交錯」する瞬間をジッと待っている、そんなイメージです
話もですが、コミックのレールガンの美琴は、原作禁書やアニメ版の美琴ともまた一味違う、よりキリッとした印象の強いキャラになってますね。これは間違いなく冬川先生が培ってきた個性だなあという感じがします。
9巻まで読むと、食蜂と「あの人物」の接点が出てきたり・・・。確かにキャラの生き様の交錯も見所ですね。
アニメ3期、観たいんですけど、ヒノキオさんも言ってた通り残骸編どうするのかなって・・・。学芸都市編だけならいいのかな?
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プロフィール

江楠

Author:江楠
 
東海在住。 

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