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パシフィック・リム

2013.09.08 00:22|映画感想
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 監督:ギレルモ・デル・トロ
 脚本:トラヴィス・ビーチャム、ギレルモ・デル・トロ
 キャスト:チャーリー・ハナム、菊地凛子、イドリス・エルバほか


 これは、いろんな意味での「断絶」と戦う映画だ。
 
※一応ネタバレあり。
   *** 

 “カイジュウ”。世界に突如現れた巨大なモンスター共。陸地に侵攻し破壊の限りを尽くし、撃破されれば体内の毒素を撒き散らし辺りを死の土地と化す。ヤツらは太平洋深部の次元の裂け目からやって来る。そう、我々人類を遠く遠くへと分け隔てる太平洋(pacific)、そこからまた更に隔絶された世界で生み出される、断絶の象徴たる存在だ。

 “イェーガー”。カイジュウを倒すために作られた二足歩行巨大ロボットの総称。“ドリフト”システムでパイロットはマシンに神経を繋ぎ、身体の動きをトレースさせる。脳への負担を軽減するためにパイロットは二人用意され、彼らは思考と記憶をシンクロしてイェーガーを操る。そのために、パイロット同士がいかに互いと同調できるかがイェーガーの戦闘力に直結する。

 本作の映像的な見せ場は、当然イェーガーVSカイジュウのド迫力バトルだ。
 たとえば、等身大のロボット格闘を描いた映画『リアル・スティール』('11)のクライマックスにおいて、主人公のオッサンのアクションをトレースしたロボットが対戦相手をぶん殴ったシーン。「命ある肉体の人間の動きと同期している」という設定と精緻なCG技術が合致したことで成功した、ロボットに観客が自らの身体感覚をスムーズに投影させて限りない興奮を味わった、夢のシークエンス。
 アレを観た人々の中で、大興奮すると同時にチラリとでもこう想像した者はいなかったか―――「もしこのロボットがもっとでっかくて、相手もそれと同等のロボもしくはモンスター、“怪獣”であったとしたら、そいつを打倒するのを観られたら、一体どれほどのカタルシスを得られるのだろうか」―――と。
 まさにそんな光景が、今回の“ドリフト”という設定、ギレルモ監督の卓越したオタク・センス、ハリウッドのビッグバジェットによって、全高50mを優に越えるイェーガーとカイジュウの容赦ないドツキ合いの釣瓶打ちとして眼前に繰り広げられる。驚愕。興奮。感激。脳内麻薬だばだばである。

 さてそんな“ドリフト”だが、物語テーマ的にもやはり欠かせない意味を持つ。
 先に述べた通り、作中のカイジュウは断絶の象徴であり、そしてイェーガーのパイロット達が戦う断絶はカイジュウだけではない。
 戦闘以外のドラマパートで描かれるのは、カイジュウに立ち向かう本来バラバラな人々がいかに互いの間に横たわる断絶を埋めていくかという過程だ。
 互いに引き合うものがあるのにドリフトを失敗してしまう主人公のローリーとマコ。過去に命を救われた・救ったという因縁があるがゆえに距離が出来たマコとスタッカー司令。カイジュウの謎をめぐって対立する学者のニュートンとハーマン。パイロット同士としては良好だが父子としての関係に悩むハークとチャック。
 彼らそれぞれの断絶が乗り越えられていくまでを、映画はバトルの分を食わない最小限の時間で、しかしギレルモ監督らしい真摯なタッチで描く。そこにあるのは独断専行の無茶を賛美するマチズモではなく、他者を思いやり協調しようという和合の精神だ。

 人間たちのドラマは、本来同一生物のクローンであるカイジュウ側の、まさにドリフトのように全個体の思考と経験が共有される、しかし感情のやりとりの存在しない無機質な繋がりと対比されている。

 一人では戦えない。
 替えの利く誰かでもない、かけがえのない君とでなければ。
 そんな者達ばかりが集められた皆でなければ。

 「一緒に悪いカイジュウをやっつけるんだ!!!」

 その隔たりが埋められた時、ローリーとマコのドリフトは成功し、ジプシー・デンジャーが動き出す。憎きカイジュウを打ちのめし、切り裂き、遥か天空より突き墜とす。
 そして彼らは最も巨大な断絶である太平洋の裂け目を消滅させる最終作戦に向かうだろう。
 その深海の死闘を経て、もはや機械に頼ることなく、キスなんかよりも深く深く想いを一つにする二人の光景で締め括られる美しさ! 
 

 巨大ロボVS怪獣のジャンルムービーと人間ドラマ、両面からの傑作です。
 
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テーマ:映画感想
ジャンル:映画

tag:パシフィック・リム ギレルモ・デル・トロ

Comment

アメリカ、オーストラリア、日本、香港、
人間側の連帯は絶えず海に隔たれて、それを越えていくんですよね

映像にどこまで語らせ、そしてそれを自然と観客に「体感」させるか、
この塩梅への信頼がもう、あぁ「映画」だなって!

>ヒノキオさん

コメントありがとうございます。

> 人間側の連帯は絶えず海に隔たれて、それを越えていくんですよね
>映像にどこまで語らせ、そしてそれを自然と観客に「体感」させるか、

作品の舞台設定や構造自体が物語足り得るからこそ、頭空っぽにして観れるんですよね。
そんな点では、ギレルモ監督に宮崎駿監督との共通点を感じたり・・・
(そういや『風立ちぬ』観ましたけど、ボロ泣きしてしまうと同時に色々と「シャンバラを征く者」でした。

文章中に「オタク映画のTPPや~!」とか書きそうになりましたがw
本当に日本のポップカルチャー的なセンスを海外作品でまかなえる時代になった・・・というか、もっと長い目で観るとこれは大いなる「還流」なんじゃないかと思うんですね。
パシリムは日本の怪獣映画や特撮・アニメのオマージュに満ちてるけど、元々その日本の作品やクリエイターがどこの何を参考にしてたか、という意味で。

それにしても、中国&ロシア組が瞬殺されてしまったのは惜しかった・・・
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