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『ガンダムビルドファイターズ』第20話までの雑感~「遊び」の先にある「本気」

2014.03.03 01:56|作品単体感想
 いやあ面白いですね『ガンダムビルドファイターズ』。毎回年甲斐もなくアツくなって視聴しています。今期は『キルラキル』『スペース☆ダンディ』のはっちゃけぶりや『ノラガミ』のクールさ、『凪あす』の奥深さ等々見所のある作品ばかりですが、『ビルドファイターズ』のエンタメ度も他に引けをとらないものだと思います。
 ここらで自分の本作への雑感をまとめておこうかと。
  
   ***

 『ガンダムビルドファイターズ』の魅力とは何か、人それぞれ目の付け所は様々でしょうが、自分はズバリ「遊びと本気の関係」を克明に描いているところにあると思います。

 まずは作品の概要をおさらいしてくおくと、
 そこは初代『機動戦士ガンダム』から始まった幾多のガンダムシリーズが実際に放送されてきた近未来であり、「プラフスキー粒子」という架空の粒子の発見によりガンプラが自在に動かせるようになり、自作のガンプラを戦わせる「ガンプラバトル」が興隆している―――という世界。
 そんな中、主人公の少年セイが自分の作ったガンプラを存分に動かしてくれるレイジと出会い、二人でガンプラバトル世界選手権に挑む―――というストーリーなわけですが。 

 この基本設定がもたらすのは、従来の『ガンダム』シリーズにおける戦闘のような命のやりとりではないガンプラバトルという「遊び」にキャラクター達が「本気」になって臨む、というある種ちょっとおかしな有り様です。つまりはガンダムというよりホビーアニメ作品の世界。
 そして本作は、その構造に非常に自覚的であり、それを強調した物語を進めていきます。

 まず、劇中でガンプラに熱中する人とそうでない一般人との距離感をはっきり描いている。セイが学校の授業中に上の空でガンプラ妄想をしてクラスメイト達に笑われたり、ユウキ会長がガンプラバトルに熱中しているのを「その“ギャップ”が良い」と評されたり。彼らののめり込み具合をしばしばギャグ的に描き、周りとの温度差もそれとなく示しているわけです。特に、第4話でのマオくんがヒッチハイクのお礼をガンプラで済ませることはできても飲食店ではそうもいかなかった・・・というくだりは、この作品のガンプラのポジションを絶妙な塩梅で表していました。

   *

 そうしてキャラクター達の異様なまでのの熱中が周囲とのズレも込みで最大限に描かれた先に、彼らの「戦い」があります。

 「所詮は遊び、その通りだ。しかし、いや、だからこそ、人はガンプラにもバトルにも夢中になれる。好きだからこそ、本気になれる。」(ラルさん/第6話)
 
 このラルさんの科白は、どんなゲームやスポーツに当て嵌めても成立する名言ですね。
 皆ガンプラとそれを使ったガンプラバトルが大好きで、だからこそ「本気」になる。組み立て、改造、操縦、戦術、あらゆる工夫と努力を凝らしてバトルに勝とうとする。各キャラによってその取り組みは様々で、そこに本作の群像劇的な持ち味も発揮されています。

 セイとレイジは互いのガンプラ製作と操縦の才能を合わせて戦いを勝ち進み、ガンプラバトル世界選手権の本選へと辿りつきます。
 そこではガンプラバトルの規模と激しさは格段に増し、その中で描かれるのは、「自分にとっての戦いとは、勝利とは何なのか」という自問自答です。

 世界選手権に集うのは各ブロックを勝ち抜いてきた猛者ばかり、自分が一定以上の強さを持っているのは当たり前。では、ガンプラバトルにどう勝つのか? 勝って得られるもの、負けても残るものは何なのか? 主人公組だけでなく他のファイター達もその命題に突き当たり、また相手との因縁で互いの価値観の違いに気づかされたりします。

 例えば、三代目メイジンことユウキ・タツヤ。彼は当初、自分が本気になれる強い相手とのバトルを熱望しており、セイとレイジのコンビに出会い存分に戦います。しかし事情によって世界選手権では“メイジン”として出場し、その栄光に恥じない振る舞いとストイックな戦いを己に課し続けなければいけないという状況に。それは一人のファイターとして純粋に熱いガンプラバトルを求める本心とはすれ違うことも多く、彼はかなりのフラストレーションを抱え込んでしまっています。まあそんな今の彼だからこそ、18話でのレナート兄弟との渋い戦術の仕掛け合いに映えたわけですが。

 そう、レナート兄弟のようにガンプラバトルを「戦争」と捉え、機体性能や操縦技術をありとあらゆる策の構築でカバーするというファイターもいたり。作中では彼らのやり方は「ガンプラバトルではない」と否定されていましたが、元の『ガンダム』シリーズが戦争モノの側面が強いことを考えると、そんな過去作品をふまえた上でのガンプラバトルと戦争の違いは、わりとややこしい問題だったのかもしれませんね。  

 そして、最初からのバトルへの参加動機が周りとは大きく違う者も。天才少年のニルス君は、別にガンプラ(バトル)が好きだったわけではなく、研究者としてプラフスキー粒子の謎に興味があり、そこに近付くために世界選手権に出場したという経緯。その技術力を活かした強さで選手権でも余裕で勝ち進んでいき、ガンプラバトルはあくまで研究目的に近付くための手段というスタンスは変わらない。しかし、周りのファイター達のバトルの熱中ぶりに疑問を呈しつつも少なからず感じるものもあり。そしてセイ達とのバトルで初めて負ける寸前にまで追い込まれたことで、ようやく自分のガンプラへの愛着とセイ達に勝ちたいという意地に目覚めることになります。
 彼にとっての「戦い」が「粒子の謎に迫る」というマクロでポリティカルなものだったのが「目の前のガンプラバトルに勝つ」といういちファイターとしてのものが加えられたわけです。
 そうして少年同士の熱血勝負に回収されたこと自体は作劇として良いものの、ニルス君のプラフスキー粒子追究の姿勢は、メタ的にはプラモを動かす粒子をただ「そういうもの」としてマグガフィン的に描いている作品全体に切り込むものでもあり、結構スリリングでもあるんですよね。終盤でも彼のその側面での活躍に期待したいところです。

   *

 そうして各人の「戦い」「勝利」が内省されていく中、先週放送された第20話「裏切りのアイラ」。
 ここで先のテーマがいよいよ真に迫って、シリアスなものとして描写されることになります。 

 イタリア代表フェリーニとフィンランド代表アイラの対戦。

 フェリーニは小さい頃から親しんできたウィングガンダム・フェニーチェを使う熟練ファイター。彼のガンプラへの情熱は作中でもトップクラスで、それを以ってセイ達との真っ向勝負が繰り広げられた第15話はガンプラバトルの楽しさ・熱さを改めて最大限に描いた屈指の回だったといえるでしょう。フェリーニはまさに「遊び」に「本気」になる、ガンプラファイターとして、『ガンダムビルドファイターズ』のキャラクターとして王道的な存在です。

 対してアイラは、「遊びに本気になれない」キャラクター。何故なら彼女はその操縦技術だけを目当てにフラナ機関に拾われ、言われるがままにガンプラバトルに臨んでいるだけだから。そこに彼女の主体性は無く、本気どころか楽しさすら見出す余地がないのです。ただし戦いの合間での彼女の正体を知らないレイジ達との交流、そしてそこでの番外的なガンプラバトルでどうにかその魅力を実感しかけていた。
 しかし、第20話の公式戦では、アイラにとってみれば他者からの苦痛の果てに意識さえ失い、気が付いてみれば勝利の結果だけを手にしていた、さらにレイジに正体がバレる・・・という最悪としか言いようのない結末。彼女は「遊び」からも「本気」からもこの上なく遠ざかってしまったわけです。
 次回21話でのアイラVSセイ&レイジの対戦で、彼女がその二つのどちらかでも手にするには、いかに戦いにおいて「自己」を取り戻すのかが決め手になるのでしょう。それがレイジからの熱意によるものか、自分自身の葛藤によるものになるのかは分かりませんが。個人的には、あのヘルメットを自分から脱ぎ捨てるシーンとかあったら最高だなー。

 そしてフェリーニ側はというと。
 いっときアイラを追い詰めるものの、無理やりに戦闘力を増強された彼女の猛攻に全く太刀打ちできず、彼はこのままでは終わらせない、と最終手段の「自爆」に打って出ようとします。
 しかし、そこにキララの止めが入る。

「あんた、何のために戦ってんのよ!? 勝つためでしょ! 今日負けても、明日勝てばいいだろ! 明日じゃなければ、明後日に勝て! フェニーチェと、一緒に!」(キララ(ミホシ)/第20話)
 
 この啖呵は、イタリア人とのカップリング以上に、「いつか必ず勝つ」ことに拘ってきた彼女のキャラクター性の集大成でした。
 そもそもキララは、自身が芸能界で成り上がるために“ガンプラアイドル”としてバトルに参戦していた、ある種ニルス君と同じような、ガンプラバトルをただの手段として捉えていたキャラでした。さらに戦いにおいては相手に色仕掛けで迫ったりガンプラに細工をするなど、汚い手も平気で使う勝利への貪欲ぶりを見せます。そしてセイ達との戦いには負けるもののその後自力で頑張って世界選手権のイメージキャラクターとして再登場。
 そこで彼女はファイター達の情熱にふれ―――特にフェリーニのVSセイ&レイジ戦を見せられ、彼らの打算を超えた「本気」を理解するに至ります。
 そんなキララだからこそ、今回のフェリーニの行動に「水を差す」ことができたのです。
 彼女の求める勝利とは「いつか必ず勝つこと」であり、だからこそ一度負けてもまた這い上がり次の勝利に向かっていく。そしてフェリーニのガンプラ愛と全力で戦う美学も分かった彼女からすれば、彼の自爆は負けを認めず自らのガンプラも必要以上に損壊させる愚挙に他ならない。それは「本気」とは似て非なるものなわけです。
 フェリーニの内面にフォーカスすれば、今回の行動は彼の中で首尾一貫しているようでいて、目の前の戦いに拘るうちに本懐を見失っていた、ということ。

   *

 この一連の流れは、ファイター達の「遊び」に熱中した先での「本気」の戦いを熱く楽しく描いているうえで相対的な視点も失わない、『ガンダムビルドファイターズ』の作品性が凝縮された回だったと言えるでしょう。

 そしていよいよ残り話数も少なく物語的にもクライマックス。周りのキャラクター達の葛藤が一通り描かれたところで、アイラとの決戦を皮切りにここへきてセイとレイジにとってのガンプラバトルとは何か、勝利は何かが改めて描かれることになるでしょう。そしてプラフスキー粒子の謎、異世界との関わり等の謎が彼らの物語と上手く結び付き、作品として大団円を迎えられることを望みます。

 そして僕は3月下旬に引っ越し予定で、その間TVやネットに繋がれない可能性大であり(なので今のうちに感想記事にしたのです)、果たして無事に本作の最終回を見届けることができるのか!? 乞うご期待!(エー

 ***

 追記:あ、あと3月7日放送の藤津亮太さんのニコ生がビルドファイターズ特集回みたいですね。きっと僕なんかより数百倍作品の魅力を分かり易く語ってくれると思うので、気になる方は是非。

 
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テーマ:アニメ
ジャンル:アニメ・コミック

tag:ガンダムビルドファイターズ

Comment

みなまで言いませんが、21話を見たあとに読むとニヤリとなる箇所が。

面白いですねーBF。私は実質初ガンダムですが、小ネタが分からないぐらいでテーマ自体はおっしゃる通りどんな遊びやスポーツにも当てはまる普遍的なものなので特に支障は感じませんね。歴代ガンダムのアンサーになっている、という意見もチラホラ聞くので完全に楽しめてるわけではないんでしょうが。終わったら私も自分なりにまとめてみようかな。

私も今月引っ越しです。念願のTOKYOMXが映る、はず……多分。

>ぽんずさん

コメントありがとうございます。

> みなまで言いませんが、21話を見たあとに読むとニヤリとなる箇所が。
観ましたよ21話~!
やはりヘルメット取る展開は定番でしたね(ここのことかな)

> 小ネタが分からないぐらいでテーマ自体はおっしゃる通りどんな遊びやスポーツにも当てはまる普遍的なものなので特に支障は感じませんね。
本作をホビーアニメとして捉えた時に、例えばミニ四駆やベイブレードのように作中の玩具で視聴者が同じように遊べる作品と違ってガンプラバトルが実際は行うのが不可能、というネックがあるだけに、話はより普遍的・王道な作りにしているのかなと考えています。

>歴代ガンダムのアンサーになっている
特に今週のアイラが救われる話なんか、これまでの強化人間エピソードへのメッセージかなーと思いました。
「悲劇で終わらなくてもいいんだ」って感じに。

>終わったら私も自分なりにまとめてみようかな。
記事楽しみにしてます~。

> 私も今月引っ越しです。念願のTOKYOMXが映る、はず……多分。
やはり3月は引っ越しシーズンですね。
お互い新生活がんばりましょう。
自分はむしろ視聴できる本数が減りそうな地域かな・・・w
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