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劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza

2015.10.19 20:22|映画感想
 『009 RE:CYBORG』『シドニアの騎士』『楽園追放』等々、ここ数年急速に進化をみせているセルルック3DCGアニメ。
 その流れにおいて、2013年に「ほぼ全編セルルック3DCGによる1クールTVアニメ」というチャレンジを成し遂げた『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』シリーズ。
 その完全新作の続編にして完結編、『劇場版蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza』。
 大変素晴らしいものに出来上がっていたので、久々に映画単体の感想記事。
 
 
   *** 

 まず、TVシリーズの話から。
 自分はTV放映当時は「何かやってるな」くらいの意識でリアルタイム視聴しておらず、後のアニメスタイルでの特集から興味をもってDVD鑑賞で追いかけたクチ。そこからはもうドハマり。
 TVシリーズでの本作の特筆すべきところは、前述の通りセルルック3DCGでのTVアニメであることに限らず、わざわざセルルック3DCGでアニメーションをやるという手法が作品の物語の意義とがっちり噛み合っていた点にある。
 原作漫画から設定・物語を大幅に改変している本作のメインストーリーは、「突如地球の海洋上に出現した謎の生命体群“霧の艦隊”が、人間の女性を模した姿“メンタルモデル”での人間との対戦・交流を通じて徐々に自我に目覚めていく」というもの。それを3DCGで描くことで、最初はどうしても違和感のあったCGモデルの造形やモーションが回を追うごとに刷新されていきより自然に・魅力的になっていく様が、“霧”達が意思や感情を獲得して振る舞いが人間らしくなっていく物語と密接にリンクしていた。キャラの表情や仕草、アクションを3DCGでの表現として一から捉え直しこだわり抜くことで「アニメらしさ」が再構築される、「世界が再発見されていく」様に立ち会っている感覚は例えようもないものがある。
 劇中の言葉を借りるなら、アニメーション表現にまさしく「風穴を開けた」TVアニメだった。

 そしてその好評を受けて制作された劇場版「DC」と「Cadenza」。
 TVシリーズの総集編と40分の新作ストーリーで構成された「DC」は、映像表現はよりブラッシュアップされてやはり素晴らしかった一方で、映画作品としては正直ぎこちないものだったように思う。TVシリーズのパートは端折りすぎて総集編というよりダイジェスト映像といった感じになってしまっていたし、新作部分は次作への繋ぎということもありどうしてもカタルシスには欠けていた。
 しかし、TVシリーズで自我を得たイオナが今度はそこはかとない心細さを訴えている様子は、世界に風穴を開けた者がいざその広大さに身を乗り出してみると恐怖や不安にかられてしまう段階を反映しているようで、続編として制作された確かに意義はあるものだった。それにしても、TVシリーズの気持ちよさに比べると何ともいえない消化不良感がのこる「DC」だった。

 そんなモヤモヤを抱えての「Cadenza」。
 結論から言って、前作への不満を吹き飛ばして余りある、今年のアニメ映画で一、二を争う痛快エンタテインメント作品に仕上がっていた。土下座。

 まずストーリーにおいて、今作はシリーズの完結として出し惜しみのないスピーディな物語進行とラストから緻密に逆算した山場の配置が可能になった結果、最初から最後まで盛り上がりしかないというような快作に振り切れている。作品の持ち味である艦隊戦描写も、シリーズ中屈指の緊張感で進む潜水艦らしい戦いからただリアルなだけはないトンデモ兵器投入&脳筋戦法まで、メリハリつけて何でもアリ。全編ずっと戦っているといっても過言ではない内容にもかかわらずバトルがワンパターンや単調になることは一切なかったというのはなかなか凄い。
 そしてメンタルモデルの自我というテーマについても、「DC」で自己確立の果ての不安を覚えたイオナが「cadenza」では「自分は本当に自分なのか」という実存不安に駆られる・・・という風に継続される。そして(ネタバレ→)「本当に自分は自分ではなく、本当の自分を曝け出せば今の自分は消えてしまう」というSFならではの展開を迎える。
 そこでイオナの背を押すのがかつてのラスボスであり同様の苦悩を近しい者の問題として被ったコンゴウ、というのも「TVシリーズ」からの「劇場版」として美しい構成。そしてコンゴウがイオナにかけた言葉(と登場時のある仕草)が、彼女が喪失した存在への想いにどういう決着をつけたのかを暗に示しており、TVシリーズの実はテーマ的な隙だった部分を埋める説明的過ぎない補足になっている。

 何より、今作での3DCGの映像表現も極まっていた。
 戦艦をTVシリーズ以上に自由自在に動かし、そのモーションにキャラクター性まで込めた描写は、かつての失われたオーパーツ『ZOIDS』シリーズの3DCG技術を彷彿とさせる。そして明らかに『楽園追放』に刺激と受けた思われる、人物の肉感的モデリング。具体的には、今作のボスキャラ・ムサシのニーハイ描写です。ニーハイ。なんですかあの布地の端に乗った肉とその重力を感じさせる歩き方!ここに3DCGアニメの未来があるんだ!という並々ならぬ“““信念”””を感じた。 
 ラストシーンでイオナの姿が見せられないのも、 観客の脳内でそれぞれ自然に彼女の姿を描き得るほどに3DCG技術でのアニメーション描写を浸透させきったのだというスタッフの自信の表れのように思う。そこまで到達したのだ、このシリーズは。

 以上のように、ストーリーとしてもテーマとしても技法としても、これ以上ないほど綺麗に〆て終わった作品でした。
 さらなる続編が観たいという気持ちよりは、これで十分!という満足感の方が強い。ただ感謝。
 あ、でも、いずれ原作が完結した暁には、今度は原作のストーリーに沿った再アニメ化はしてほしいかも・・・。 
 
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