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映画 けいおん!

2012.02.12 12:53|映画感想
・音が、仕草が、日々を輝かせていく
『映画 けいおん!』

 k-on.jpg

 原作:かきふらい
 監督:山田尚子 脚本:吉田玲子 キャラデザ・総作監:堀口悠紀子 
 美術監督:田村せいき 音楽:百石元 音響監督:鶴岡陽太
 制作:京都アニメーション

 観てきたんですよ、『映画 けいおん!』。今頃。本当は昨年内に観る予定が、急に土日に用事が入りまくったり金欠になったりと、延びに延びて、やっと昨日観ることができました。


 で、感想ですけどねえ・・・いやもう凄かったですね。まさかあの『けいおん!』の劇場版が、『コマンドー』に勝るとも劣らぬ一大コンバットアクション・エンタテインメントに出来上がっているとは。事前に読んだあちこちの感想では「いつもの『けいおん!』だった」とか書いてあったので、いざ観たらびっくりしましたよ。
 

 日本にいる間は確かにまだいつもの『けいおん!』。
 しかし、HTT(放課後ティータイム)の面々がロンドンに降り立った瞬間、唯が何者かに誘拐されてしまう! その犯人グループは、琴吹財閥に敵対する山田財団の手の者でした。唯を解放してほしくば財閥を継がずにとり潰せと迫る財団。
 責任を感じて一人で敵地に向かおうとするムギに残りの3人が追いついて、「今日の私達は砲火後ティータイムだ!」と再び団結するシーンは最初の山場でしたねえ。あそこで涙腺決壊している観客も結構いました。
 そしてここでようやく『けいおん!!! the movie -FullMetal Girls-』のタイトルドーン!!

 で、そこからはもうアクション、アクション! 楽器を火器に持ち替えて、財団の傭兵部隊に追われつつ、唯の監禁場所を探してアジトを片っ端から襲撃していくという構成のもと、HTTが死闘を繰り広げます。
 山田那王子監督の極微な演出と京アニの作画力をアクションに活かすことで、近年まれにみるリアリスティックな戦闘シーンが展開されていました。ここまでのクオリティはアニメ映画としては『ストレンヂア』以来であり、京アニ作品という意味では『フルメタ』の再来でしたね。
 HTTメンバーそれぞれの武器にバラエティを持たせたのも良かったですね(澪はアサルトライフル、律はダガーナイフ二本に手榴弾、紬はデザートイーグル、梓はサブマシンガン)

 ストーリーも決して単調なものではなく、アジトに待ち構える敵が中核に近付くごとに強くなっていったり、日本からの助っ人・さわちゃんがまさかの裏切りに出たり(実は敵を欺くためだったわけですが)、澪と律の仲違いがあったりと二転三転し、だらだら日常を描くだけだったTV版の面影は欠けらもありませんでした。

 名言もいっぱい出ましたねえ。ムギが敵ボスの口上に「ちゃんちゃらおかしいわね」と言い放ったりとか、激戦の中で澪が律に言った「私の命、あずキャットいて」とか、助け出された唯の開口一番の科白が「そうだ、来年はどこ行く?」だったのも一周回って深かったですね。あと、梓が終始菅原文太ばりのオッサン広島弁だったのも印象的でした。

 クライマックス、ライブ会場裏でロック音楽が響く中、自由になった唯を加えたHTT全員での敵ボスとの銃撃戦はもう筆舌に尽くせないカタルシスでした。
 ファンの予想をはるかに裏切って、しかし最高のアクションと友情の融合をみせてくれた素晴らしい作品でした。拍手!

 まあ一つだけ欠点をあげるならば、随所に『コマンドー』オマージュを散りばめているのなら、飛行機内のシーンでは梓が寝てる時に「彼女を起こさないでくれ。死ぬほど疲れてる」の科白を絶対入れるべきだった、というところでしょうか。あそこは歯痒かったなー。 


   ***
 

 ・・・いやまあ冗談はこれくらいにしてですね(全国のけいおんファンの皆様、お許しください!)
 ここからホントの『映画 けいおん!』の感想です。

 まずは、シネマハスラーよろしくTV版の『けいおん!』のことから語っていきましょうか。

 すっげえアホな感想ですけど、全話観てる間「ああ、俺の高校時代をこんな女の子達と過ごせていたらなあ・・・」と終始ため息ついてました。
 ちょっと自分語りになるけど、最後には作品評価につながることなので・・・。
 僕は高校時代はとある芸術系の女子率高めな部活に所属していまして。そこの女子がまあ粗野で下品で生意気で、芸術系の部活なものだから妙に個性が強く一癖も二癖も抱えていて、おまけに顧問が輪をかけて強烈で厳しい性格のお人で。毎日誰かが泣いて怒られて落ち込んでいる、そういう部活でした。

 そこで三年間、女子高生の暗部をひたすら至近距離で見せつけられ続けられるという苦行。そして僕自身も自意識がこじれにこじれてとんでもなく面倒くさいことになっていた最悪の男子高生で、彼女達に迷惑をかけてばかりでした。
 だからそういう高校時代を過ごした僕には、HTTみたいな可憐で優しい女の子ばかりで和気藹々としたキラキラ楽しい部活というものに、半端ない憧れとコンプレックスがあるんですよ。

 そして『けいおん!』を観る前は、コンプレックスの方が強くて、ずっと軽蔑していたわけです。「ケッ、そんなもん幻想なんだよ」と。
 しかし。あまりにも話題になっているので、二期の途中からいざ観てみると、その幻想が、これ以上ないほど丁寧なリアリティで以って描かれていた。アニメーションで描かれて初めて気づく、高校生活の空気感とか、何でもない会話のやりとりとか、女の子のちょっとした仕草とか。入れ込み過ぎたファンがリアルとリアリティをはき違えてしまうのもまあ分かる完成度。
 
 全体のお話はあくまで純化されたファンタジー。しかし、所々に散りばめられた細かな描写は、確かに、僕の高校時代に見ていたものだった。
 あの部活の彼女達も、ほんの一瞬、本当に一瞬だけど、唯ちゃん達みたいな表情と仕草をみせることが確かにあった。そんな彼女達と笑い合った記憶だって。辛く苦しい思い出ばかりだったあの頃だけど、闇夜に輝く星々のように、少ないながらも楽しく幸せなモノだって僕は体験していたのだ・・・。
 まあね、そういう大切なことをこのアニメを通じて気づけたわけですよ。一般とはかなり違った楽しみ方の気もしますが。


   ***

 
 だからこの映画版にしても、別に「映画らしい」シリアス展開やスケールアップも必要ない、いつものHTTがそこに居ればいいや、ってくらいの気構えで観に行って、そしてそれは確かに叶っていました。
 ロンドン行くっつってもやはり『けいおん!』、そこで重大な事件に出くわすこともなく、最初から最後まで彼女達らしい時間を過ごしていました。だから、唯が梓のために何か壮大でカッコイイ曲を作ろうと四苦八苦するけど、旅行を通じて、自分達らしいいつもの曲を作ればいいんだと気づく、という顛末は非常に『けいおん!』らしいもので、この作品でしか成立しない物語でしたね。
 ただ、寿司屋でのライブと野外ライブは、どっちかを失くして片方にいっぱい曲を盛り込んでも良かったのでは? と感じました。たとえばロンドン前半は唯達をひたすら歩きまわらせることに徹して世界に馴染ませ、最後のライブで溜まりたまった情感を一気に爆発させて何曲もフルで流しちゃう、みたいな。

 しかし、本作が「映画らしくない」かといえばそんなこともなく。

 どこまでも魅力的なキャラクター達、人の仕草や風景の偏狂執的といえるほどの丹念な描き込み、一つ一つ丁寧な音響、考えてみれば、TVからスクリーンへの拡大に十分耐え得る、いやスクリーンでかけてこそのポテンシャルを持ったアニメだったんですね。クオリティの点で、アニメ映画としてはトップレベルでしょう。
 そう、特に音響が良いんですよ、この映画。
 部室の床のぎしぎし鳴る軋み、冬服の衣擦れ、飛行機内の空調音、ロンドンの硬い地面を渡る足音、そういう「ここまで拾うかよ」ってレベルの本当に細かい音響演出が、なんてことのない退屈な時間を繋いで、微かな緩急やリズムをつくっている。そこに声優さん達のキャラにバッチリはまった演技とTVシリーズでの定番曲や映画用の新曲が加わるわけですよ。
 目を閉じて音を聴いているだけでも気持ちいい映画。
 この「音の映画」という点では、作風は全然違うけどエドガー・ライトの『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』を思い出しました。

 あと、ロンドン野外ライブで唯と観客の赤ちゃんの目が合うシーンにことばに出来ない迫力を感じて、よく分かんないけどあれが「映画的」クライマックスに感じました(おはなしとしてのクライマックスは帰国後)


 はい、というわけで、劇場体験として申し分ない映画でした。
 今更観た僕が言うのも何ですが、まだ公開している映画館もあるので、観に行こうかどうか迷っている方はお早目に~。
 何か今は劇場でポストカード配ってるみたいですね。HTTの五人が寝こけてるイラストのものが貰えました。

  K-on2.jpg


   ***


追記:

 ―――「そうだ、来年はどこ行く?」

 『けいおん!!!』劇場版第二弾、制作決定!

 波乱のロンドン旅行から一年後。新生軽音部3年生・梓、憂、純の卒業旅行に唯たち放課後ティータイムも付いていくことに。
 行き先はハワイ・ホノルル!
 梓は旅行中に先輩達へのアンサーソングを作るべく奮起し、ぐうたら根性に一段と磨きをかけた唯はハワイでのんびりレジャーを夢見ていた。

 しかし、ハワイに着いた途端に、今度は梓が誘拐・監禁されてしまう! それは復活した山田財団の仕業だった。
「今度は私があずにゃんを助けるんだよ!!」
 かくして、憂と純を加えた砲火後ティータイムが再起動する!
 ホノルル一帯はハワイアンの代わりに銃声と爆撃音が鳴り響く戦場と化した!

 砂浜は機銃掃射に煙り立ち、セルリアンブルーの海は鮮血の紅に染まる! 楽園に仕掛けられた最悪の罠、やっぱり裏切るさわちゃん先生、海を越えて加勢に来た巨大化トンちゃん(ていうかガ×ラ)、そして山田財団新ボスの衝撃の正体とは!? 
 
 HTTは梓を無地救出し、梓は唯達に歌を届けることができるのか!?
 夕陽のホノルルビーチに響き渡るのは、勝利の歓声か、それとも敗北の慟哭か―――

 HTTは、いつでも、どこでも、砲火後です!!
 
 ガールズ・コンバットアクションの新鋭、山田那王子監督第二作!
 『けいおん!!! the movie2 -Bloody Hibiscus-』
 20××年公開予定、乞うご期待! 
 
 同時上映:『しゃみえん! 桜が丘女子高等師範学校・三味線演奏部1942 ~トミばあさんの初恋~』

 
 ※完全なる嘘予告です。


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テーマ:映画レビュー
ジャンル:映画

tag:映画 けいおん!

Comment

いやー、やばかったです!
銃撃戦の真下、決死の特攻を仕掛けようとする唯が言い放った「私の命・・・あずキャットいて!」が、HTTの絆の深さを物語ってましたね~('∀`)
うn・・・薄い本のネタになりそうですねw

映画と言っても、けいおん!の作風はぶれませんね。
観おわったあと少し物足りない気がした反面、なんだか安心してる自分がいるのに気づきましたよ。

言われてみれば、床の軋む音が妙にリアルでしたねw
現象也は飛行機の離陸シーンやタクシーのシートベルト、地下鉄の一瞬消える電気とか細かい描写が好感持てました^^

>現象也さん

コメントありがとうございます。

>うn・・・薄い本のネタになりそうですねw

本作の公開直後に嘘感想が流行ってたので、今さら便乗しました。
本編に派手なストーリーがない分、同人誌だとこういうのあるんじゃないですかねw

> 映画と言っても、けいおん!の作風はぶれませんね。
> 観おわったあと少し物足りない気がした反面、なんだか安心してる自分がいるのに気づきましたよ。

僕は劇場で映画を観ると、一回目は情報処理が追いつかなくてたいてい細部の記憶が飛んでしまうのですが、本作は細かいところまで鮮明に記憶に残りました。
特段目まぐるしい展開がない分、落ち着いて観れましたね。
こういう映画があっても良いと思います。

> 現象也は飛行機の離陸シーンやタクシーのシートベルト、地下鉄の一瞬消える電気とか細かい描写が好感持てました^^

あの「旅行してる感」はすごくツボでしたネー。

え~??? 何そのポスカ!
3回行ったのにそれ貰ってない(´Д⊂)

すいませんこれだけの力作を読んでおきながら
まずそっちで反応してしまいました

しかし笑った~w

しかも恐ろしいのが、
この記事の序文で書かれたような内容だとしても
心地よさは大して変わらないだろうっていうか
結局唯たちの戦闘の幕間の仕草や掛け合いを観て
頬緩めてるだろうなって事ですよね、
『エクスペンダブルズ』や『ドラゴン・キングダム』見てる時の
自分の「話は追っかけてない感」
それよりコイツらを眺めさせてくれ!っていう.

『映画 けいおん!』の素晴らしいのは
お話で「映画的スケール」を出そうとしなかった事だろうなと、
ロンドンシーンが不完全燃焼なのも監督の狙いだったそうで.
映画的とはどういうことか、
それは普段の家や部室や学校の廊下を捉える
その音響やショットの豊かさ、芝居の繊細さにあるんだっていう.

・・・どうして京都の音楽ファンのまだ若い女の子監督が
わかってる事がキネ旬の評論家連中にはわからないのか.
ようやくベストテン号読みました.
頭抱えるほどのコメントはそれほどありませんでしたが

しかしそこに並んでる作品の大多数がけいおん!の心地よさや
マクロスの娯楽性に勝ってるとはとても思えないのはなんとも.

>ヒノキオさん

コメントありがとうございます。

> え~??? 何そのポスカ!
> 3回行ったのにそれ貰ってない(´Д⊂)

ちょっと前から入場者にポストカード配るキャンペーンが始まってたみたいなんですよ。今はまた絵柄変わってるようで。 
自分一回目なのに、何だかズルしちゃった気分・・・w
この辺含めた商売戦略には、言いたいことがなくもないんですが。

> しかし笑った~w

いや本当こういうネタ文章ってスルーされる虚しさを抱えながら書くので、笑っていただけるのは本望です。
5分くらいの短編で作風180度違う話とか観たいんですけどねえ。寅さんの夢みたいな。

> 自分の「話は追っかけてない感」
> それよりコイツらを眺めさせてくれ!っていう.

「けいおん!」はまさにそれですよね。一瞬一瞬のディティールに作品の本質が懸かってる。
思い返してみると、帰国後の屋上で風が吹く瞬間とか、あの時も肌がぞわわってなりました。やっぱりあっちが映画的にもクライマックスかしらん。

そういや屋上のシーンとか教室内ライブとか、2期のOP・ED映像を意識してるんですかね?

> ・・・どうして京都の音楽ファンのまだ若い女の子監督が
> わかってる事がキネ旬の評論家連中にはわからないのか.

キネ旬の新鋭アニメ分野への疎さを増當さんの連載が補おうとしてる感じですね。
あ、隔月連載なので、ベストテン号には載ってなかったかもです。

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プロフィール

江楠

Author:江楠
 
東海在住。 

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