スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『パンズ・ラビリンス』

2011.11.14 19:37|映画感想
 ・“めでたし、めでたし。”
 パンズ・ラビリンス
 パンズ・ラビリンス1

 原題:『El laberinto del fauno』
 2006.メキシコ・スペイン・アメリカ合同製作
 監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ 音楽:バビエル・ナバレテ
 キャスト:イヴァナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ、セルジ・ロペスほか 

 悪夢のような現実と、現実のような悪夢と、どっちがいいか? 
 そんな風に問われた場合、私は答えに詰まる以前にその二つって何か違うのかよと思ってしまう。どっちも最悪で、絶望である。しかし、実は・・・。
 本作は、そんな究極的選択を抱えて少女が七転八倒する映画です。
 舞台は内戦が激化する1930年代後半のスペイン。
 辛く陰惨な現実世界に生きる少女。そこは異界から救いの手が差し伸べられたかと思ったら、異界も異界で相当に過酷で、血と泥と苦しみが渦巻いていた・・・。
 そして現実と悪夢は呼応するかのようにどちらも過酷さを増していく。

 成程これがダークファンタジーというものかと、若干気が塞ぎながら感服した。現実世界の緻密で壮絶なリアリティがなかったら、凡庸なファンタジーになっていただろうなあ。

 虚構世界での試練、現実世界での戦争、両方に苦しめられ抜いた果てに、少女は救われる。悪夢のようだった異界の中で。
 そう、悪夢のような現実と現実のような悪夢とで何が違うかって、それは悪夢の方にはまだリアルをすっ飛ばした「救済」の可能性があるということだ。

 私は基本的には、主人公がそれまでの自分の非をチャラにして無条件に救われるようなハッピーエンドは大ッ嫌いなのだが、この物語に関しては諸手をあげて祝福したい。あの甘美で幸福なラストに値してあまりあるだけの苦難を少女は一身に浴びてきたのだ。
 ああ今まで辛かったね、もう大丈夫だよ、良かった良かったおめでとう・・・そんな気分だ。もしラストも救いのないものだったら、私はしばらく再起不能になっていただろう(救われたのはむしろ観客の私の方だったのかもしれない)。
 それでも、その救済を眼前にして尚やりきれない気持ちがあるのは。

 「ハッピーエンド」がそもそもどれだけ残酷で悲惨な現実の上に成り立っているのかを証明した作品。
 それは現実逃避なんて生易しいものじゃなくて、こんな風に変換・偽装しなければ生きていけない現実がある、ということ。
 ファンタジーほど現実的な物語ジャンルはない。

 実際にスペイン内戦で不条理に失われたであろう無数の命を、ファンタジーの側から弔い救済しようというギレルモ監督のこころを感じた。


 本作がギレルモ監督作品初体験だったのですが、これで彼のことを「粘液グロ系メルヘン嗜好ドSオタク野郎」としてインプットしました。後に他の監督作品も鑑賞したら、だいたい合ってた(笑)

Yahoo!映画での元のレビュー
 

 ここから完全に趣味の話に入りますが、自分妖怪好きなので、妖精パンの造形は勿論のこと、二つ目の試練のエピソードでヨーロッパ版「手の目」が登場したことがマニアックに嬉しかったですね。

 手の目パンズ・ラビリンス
 (左)「手の目」 鳥山石燕『画図百鬼夜行』(1776)より。両掌の目でイカサマをやるという妖怪。
 (右)『パンズ・ラビリンス』第二の試練に登場するクリ―チャー

 『パンズ・ラビリンス』の美術造形は画家ゴヤ(『我が子を喰らうサトゥルヌス』など)に代表されるスペイン美術をモチーフにしているようですが。しかしオタクでもあるギレルモ監督なら『画図百鬼夜行』あたり資料の一つとして読んでても不思議じゃないイメージ。

 そして、1930年後半スペインを舞台に現実と虚構のコンフリクトを描いた本作に対照して、マイベストムービーの一つである『鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』もまた、1920年代後半ドイツを舞台に似通ったテーマを描いた作品でした。
 1920~30年代ヨーロッパを舞台に、世を覆っていく戦争に対してファンタジーで立ち向かい、犠牲者を鎮魂しようというこの二作が、一年違いで公開されているという。(前者が2006、後者が2005)
 製作規模は全然違うものの、この妙な符合を、同時代性っていうんですかね。
 まあ、単に私がそういう映画ばっかり好きこのんで観てるっていうえげつない話ですが(笑)


 
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:映画レビュー
ジャンル:映画

tag:パンズ・ラビリンス ギレルモ・デル・トロ

Comment

非公開コメント

| 2017.08 |
-
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

江楠

Author:江楠
 
東海在住。 

コメント・TB・リンク歓迎です。

・好きな映画・アニメ
ホット・ファズ、晩春、妖怪百物語、ゾイド、ハガレン、ガッチャマンクラウズ など

・好きな漫画・小説
夢幻紳士シリーズ、修羅の刻、京極堂シリーズ、THE END OF ARCADIA など

ブログパーツ

Twitter

カテゴリ

最新記事

月別アーカイブ

最新コメント

最新トラックバック

FC2カウンタ

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム

QRコード

QR

ページtopへ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。